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地方創生の針路は 東京一極集中どう解消

「移住を機に家族で過ごす時間が増えた」と話す今井俊秀さん、梨恵さん夫妻。中央は長男の颯(そう)君(俊秀さん提供)
「移住を機に家族で過ごす時間が増えた」と話す今井俊秀さん、梨恵さん夫妻。中央は長男の颯(そう)君(俊秀さん提供)

「ふるさとを消滅させてはならない」。平成26年9月の臨時国会の所信表明演説で、当時の安倍晋三首相が「地方創生」の意義を訴えてから7年。新型コロナウイルス禍によるテレワークの浸透で、一定程度、地方への移住者もみられたが「東京一極集中」は変わらない。地方の衰退にどう歯止めをかけるか。残された時間は多くはない。

移住相談は25%増

「コロナ禍がなければ、こんなに早く移住に踏み切らなかったんじゃないかな」

昨年8月に東京都渋谷区から新潟市に移り住んだ今井俊秀さん(35)がこうつぶやくと、妻の梨恵さん(39)もしきりにうなずいた。俊秀さんは新潟県三条市で生まれ育ち、大学進学を機に上京。そのまま都内の企業に就職したが、コロナ禍以降、勤務先でテレワークが認められるようになり、新潟市出身の梨恵さんの里帰り出産を機に〝Uターン〟を決断した。

移住後、東京で暮らしていたときより広い部屋を借りたが、家賃は3分の1に下がった。夫婦ともに在宅勤務に切り替わったため、通勤時間はゼロ。その分、家族で食卓を囲むゆとりが生まれた。「新潟に来たのは間違いじゃなかった」と梨恵さんが話すと、俊秀さんも「子育てのしやすさを考えると、移住して正解だった」と相づちを打った。

全国の自治体と連携して移住支援に取り組んでいる「ふるさと回帰支援センター」によると、昨年の電話やメールでの移住相談件数は前年比25%増の1万8427件。同センターの高橋公(ひろし)理事長は「コロナ禍以降、移住に興味を持つ人は明らかに増えた。テレワークが浸透し、転職せず移住できるようになったのも増加の一因ではないか」との見方を示す。

高齢化4割も

一方、移住人口をはるかに上回る勢いで、地方の人口減少は進んでいる。

国立社会保障・人口問題研究所がまとめた将来推計によると、令和35年には国内人口は1億人を割り、高齢化率は約4割に達する。とりわけ人口規模が小さい地域ほど、減少速度は速い。平成27年と令和27年の人口推計値を比べると、関東は91%を保つものの、中部、近畿、中国、九州は81~82%、四国は73%。最も減少率が高い東北は69%しか残らず、30年間で人口の3分の1弱が消える計算になる。

首都圏の人口増は地方からの人口流入によって支えられてきた側面もある。地方の衰退は日本の地盤沈下の引き金となりかねない。

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