争点のコロナ対策、大差なく…有権者の選択は

新型コロナウイルスへの対応が主な争点とされる衆院選(31日投開票)。ただ、各党が掲げるコロナ対策や給付策などに大きな差はみられず、最大の争点に対する「回答」が見えにくくなっている。感染者が減った今、有事に備えた医療体制強化と経済活動再開の両立が大前提となっているためだ。「コロナ対策はできることが限られ、方針に差が出せないのでは」と専門家。有権者も難しい判断を迫られそうだ。

「感染防止対策は科学的な知見を積み上げたもの。政党間で方向性が似るのは仕方ない」。大阪府内の選挙区から立候補した与党前職の陣営関係者は明かす。

それでも「未曽有の事態に対峙(たいじ)してきたのは政権与党。野党の公約に新たな観点からの対策は皆無といっていい」と反論。コロナ対策に大きな差がないのであれば「対応を担ってきた与党の考えが結果的に正しいと裏付けることになるのでは」と皮肉った。

長らく与党のコロナ対応を批判してきた野党もまた、アピールの難しさを感じている。

「政党名を隠した公約パンフレットを見ても、(有権者が)どこの党の考えなのかを当てるのは難しいのではないか」。ある野党前職の陣営幹部は自虐気味に語る。

感染者の減少により、有権者の関心は一気に経済再開へと向かう。そうした流れの中、同幹部は「政権のコロナ対応への批判が、私たちの支持につながるかどうかも分からない」とこぼす。

これに対し、野党新人の陣営関係者は公約には建設的な提言も含まれていると主張。「有権者に違いを認識してもらえるよう、丁寧に説明していく」と述べた。

違いが見えにくい与野党の対コロナ方針。有権者の見方は厳しい。

大阪市中央区の男性会社員(37)は「どの政党にとってもコロナ対策は重要だ。政策に大差がないのであれば、選挙後に直ちに実行してほしい」と注文する。

日本大大学院の岩井奉信(ともあき)講師(政治学)は「感染者減少の理由の一つとして、ワクチンの普及が挙げられる。ただ接種を進めていくという考えはどの党も変わらない」と話す。次なる感染拡大に備えて医療体制の拡充も課題だが、「科学的にもやるべきことは明らかだ。『第6波』への対応も(与野党は)そんなに違いが出せない。致し方ない部分がある」

各党はコロナ禍などに伴う分配政策や減税案を打ち出したが、内容が似通っているとの見方もある。「各党とも給付金の額を競っているだけでは」。大阪市天王寺区の女性会社員(50)はあきれ気味に話す。

岩井氏も「財源に限界がある中、(分配は)成長戦略と結びつくべきだ。しかし、その根拠もはっきりしていない党もある」と指摘。「有権者はいろんな判断基準があるはず。難しい選択になると思うが、しっかりと未来への一票を投じてほしい」と話した。

会員限定記事会員サービス詳細