主張

飲食店の時短解除 節度ある美酒との再会を

飲食店や酒好きにとっては、待ちに待った措置である。

新型コロナウイルス対策として飲食店に要請していた酒類提供の制限や営業時間の短縮要請が解除される。東京都と大阪府は25日から、沖縄県では11月1日に解除され、ほぼ全国で通常営業が再開されることになる。

猛威を振るった第5波を急速に収めたのは、1日100万回超の急ピッチで進めたワクチン接種の効果であり、マスクの着用や手洗い、3密の回避などの基本動作を徹底した多くの国民の努力によるものと評価できる。

ただし第6波への警戒を怠るわけにはいかない。低温で屋内活動が増える冬場はウイルスの好物であり、時短要請を緩和した昨年末の忘年会などの活況が1月に新規感染者が急増した第3波につながった反省を忘れてはならない。

実際に7月中にマスク着用義務などの行動規制をほぼ撤廃した英国では感染が再拡大しており、1日当たりの新規感染者数は5万人を突破している。英国から伝わるパブなどで酔客が奇声をあげる映像は、こうすれば新型コロナ禍の再拡大を招くという「他山の石」とみなすべきではないか。

英国の公共医療を提供する国民保健サービス(NHS)の責任者は20日、重症患者の増加で「医療が逼迫(ひっぱく)する恐れがある」としてマスク着用の再義務化などを政府に要請した。

安心しすぎるな、羽目を外すなということである。

人の体も心も温める酒は、古来「百薬の長」といわれ、他者とのコミュニケーションを円滑にするありがたい飲みものである。

ただ過度のアルコールの摂取は体や心を壊し、他者との交友を破壊することもある。飲み過ぎた集団のらんちき騒ぎが迷惑なのは平時でも変わらないが、ましてや現状は、新型コロナの脅威が去ったわけでもない。今後もマスクの着用や手指の消毒を励行し、酒場においては極力静かに、少人数で酒類を楽しんでほしい。

感染が落ち着いているこの時期に、ワクチン接種をさらに進め、3回目接種も視野に入れた計画を構築することや、第6波にも対応できる医療提供態勢を整備しておくことが重要なことは、いうまでもない。こうした新型コロナ対策と並行して、上手に日常を取り戻していきたい。