佐賀2区・鹿児島3区 原発立地選挙区もエネ論議低調

「左に寄るしかない」

立民の公認を受け、原発が立地する選挙区から出馬する大串、野間両氏の立ち位置は難しい。

大串氏は民間労組に支援を依頼する際、「相手側がいない真ん中から左に寄らないと当選できない」と釈明しているという。本音は別にある、というのだ。

立民を支援する連合内部では、民間労組を中心に「共産党や左派系市民団体などへの傾斜を強めている」との不信が根強い。今回の総選挙で、長らく民主系を支援していた全トヨタ労働組合連合会が、愛知県で自民候補との対決回避を決めたのはその象徴だ。

それでも連合佐賀や連合鹿児島は今回も両氏を推薦するなど、組織としての支援姿勢は崩さない。両氏が原発問題に言及しないのは、民間労組側への配慮という側面もある。佐賀県内の労組幹部は「大串氏は現実的な考え方をしている。党を内側から変え、路線転換を図る上で大きな存在だ」と期待をかける。

とはいえ「内側からの変革を期待する」という方便はこれまでの選挙でも繰り返されてきた。公約などを見れば、その路線は成功したとは言い難い。組合員からは自民支援に転換するべきとの意見も上がり、調整は容易でなかった。ただ、風向きに変化も生じる。

22日に閣議決定されたエネルギー基本計画は、菅義偉政権時に提示された骨子の内容を踏襲したものだ。実現性に裏付けのない高い数値目標を掲げ、当時の小泉進次郎環境相ら主要閣僚が脱炭素電源として原発の有効活用を求める声を十分に反映しなかったことへの反発は強い。また小泉氏とともに菅政権を支え、自民党総裁選に立候補した河野太郎氏は、既存原発を代替し得る小型原子炉の研究開発について「消えゆく産業の最後のあがき」とまで言い切った。

こうした自民幹部の言動に業界関係者は不満を強める。安価で安定的なエネルギーの確保は社会生活はもちろん、産業の土台だ。業界には「脱炭素は理想としては正しくとも、実現方法を誤れば国内産業のさらなる空洞化を招きかねない」との危機感がある。

ある電力総連幹部はこうつぶやいた。

「とりあえず今回は『自民で本当に大丈夫なのか』と組合員を(連合系候補への支援で)説得できるよ」

(中村雅和)

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