佐賀2区・鹿児島3区 原発立地選挙区もエネ論議低調

集会で演説する立憲民主党の玄葉光一郎副代表=22日、佐賀県玄海町
集会で演説する立憲民主党の玄葉光一郎副代表=22日、佐賀県玄海町

衆院選は31日の投開票に向け、九州・山口の各地でも活発な論戦が展開されている。そんな中、影が薄くなっているのがエネルギー政策だ。先月の自民党総裁選では、原子力発電の将来にかかわる核燃料サイクルの是非などに注目が集まったが、熱気は急速にしぼんだ。九州電力が計4基の原発を稼働させる佐賀、鹿児島両県の選挙区でも原発などエネルギー政策の論議は低調だ。

〝ゼロ〟

22日、立憲民主党の玄葉光一郎副代表が九電玄海原発が立地する佐賀県玄海町に入った。同町を含む佐賀2区から立候補した同党前職の大串博志氏(56)の集会に出席するためだ。

会場から北にわずか約6キロには玄海原発がある。しかし、大串氏が原発問題に触れることはなく、福島県中部の福島3区を地盤とする玄葉氏も同じだった。玄葉氏は集会後、産経新聞の取材に「本当は言いたいことはある。あえて話さなかったんだよ」と答えた。

同区には自民前職の古川康氏(63)も立候補する。古川氏は玄海町に隣接する地元・唐津市で21日に500人超の支持者を集めた大規模集会を催した。しかし、演説では大串氏同様に原発問題をはじめ、エネルギー政策に時間を割くことはなく、選挙区内での豪雨災害への支援策などの実績アピールに終始した。

九電川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市を含む鹿児島3区も状況は同じだ。自民前職の小里泰弘氏(63)と立民元職の野間健氏(63)はともに、課題となっている川内原発の40年超運転について安全性が確保を条件に容認姿勢を示していることから、争点に浮上する気配はない。

原発立地選挙区でのこうした傾向は平成29年の前回衆院選と同じだ。

大串、野間両氏は当時、希望の党公認で出馬した。同党は「12のゼロ」と称した重要政策の筆頭に「2030年までの原発ゼロ」を掲げたが、選挙戦では党代表だった小池百合子東京都知事を含め原発に言及する機会が両氏の地元では〝ゼロ〟だった。

相変わらずの理想論

立民は平成30年、施行後5年以内に国内の全原発の運転停止を目標とする「原発ゼロ基本法案」を共産党などと提出した。同法案は審議入りすることなく立ち消えになり、立民の枝野幸男代表は今年4月「(政権獲得後は)作らない」と明言し、軌道修正を図る。

今回の衆院選では「原発に依存しない脱炭素社会を実現する」と公約し、再生可能エネルギーの発電比率の目標を2030年に50%、50年に100%まで引き上げると明記した。加えて、再エネ普及に伴う送電網整備を政府の直轄事業として進めるとする。

これに対し電力業界からは「再エネの変動する発電量への対処をはじめ技術的な課題は多い。また、既存送電網の維持ですら人手不足感が強まっている中、拡充を担う技術者をどう確保するのか。現実度外視の理想論は相変わらずだ」と冷ややかな視線が送られる。

会員限定記事会員サービス詳細