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カープ主砲・鈴木のメジャー挑戦は決定的 いま心技体のピークに 植村徹也

心技体は最高潮の広島・鈴木誠也
心技体は最高潮の広島・鈴木誠也

広島の主砲・鈴木誠也外野手(27)が今シーズン終了後、ポスティングシステムを利用して大リーグに挑戦することが決定的になっていることが明らかになった。すでに球団側には了承を得ているものとみられ、ポスティングに必要なMRI検査(磁気共鳴画像診断)などメディカルチェックを行う手続きにも入っている。代理人の選定も済ませており、全日程終了後、正式発表を行う方向だ。

鈴木は東京・二松学舎大付高から2013年のドラフト2位で広島に入団。プロ9年目の今季は126試合に出場し、打率3割2分2厘、38本塁打、87打点。打率はリーグトップで、本塁打数も巨人・岡本、ヤクルト・村上の39本塁打に1本差(数字はすべて20日時点)。2冠に輝く可能性もあるカープの主砲だ。順調に行けば2年後の23年シーズン後にも海外フリーエージェント(FA)権を取得できるが、野球人生の中で心技体ともに最高潮を迎えた状況で、メジャーに挑戦したい-という考えが勝ったようだ。

鈴木は昨年オフの12月9日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約更改に臨み、3千万円増の年俸3億1千万円でサイン。菊池涼介内野手(年俸3億円=金額は全て推定)を抜き、球団野手最高年俸に浮上した際、ポスティングシステムを利用しての大リーグ挑戦について「(球団側とは)少しはしましたけど、深くは話していない。(新型コロナウイルスなど)状況が難しいですけど、タイミングが合えばというニュアンス」と話していた。それ以降、球団首脳との話し合いは〝深化〟し、今オフのメジャー挑戦に定まったようだ。

ポスティングによる大リーグ挑戦が実現すれば、広島では15年オフ、ドジャースに8年総額2500万ドル(約27億円=金額は推定)で移籍した前田健太投手(33=ツインズ)以来となる。19年オフには菊池涼がポスティングによる大リーグ挑戦を発表したが、大リーグ複数球団との交渉がまとまらず、12月27日に広島残留を表明。年俸3億円プラス出来高の4年契約を締結している。

気になる大リーグ30球団の鈴木に対する評価だが、直近の日本人野手の移籍条件が参考になる。20年1月に海外FA権を行使し、西武からレッズに移籍した秋山翔吾外野手は3年契約の総額2100万ドル(約22億円)。19年12月、ポスティングを利用してDeNAからレイズに移籍した筒香嘉智外野手(現在はパイレーツ)は2年契約の1200万ドル(約13億円)。2人とも年俸ベースで6億~7億円だ。

すでに鈴木に対しては、ロイヤルズ、レイズ、フィリーズ、マリナーズ、レンジャース、ブルージェイズなどが興味を示している状況で、戦力構想としては「レギュラーの外野手、6番~7番打者」というのが海の向こうから伝わる水面下の情報だ。年俸6億~7億円の3年契約が基本線という。

打線の大黒柱が抜ける広島は今オフ、4番を打てる強打の外国人選手をリストアップし、獲得に向かうとみられる。今季は小園や坂倉、林ら若手の野手がシーズンの中盤以降、メキメキと頭角を現した。チームもクライマックスシリーズ(CS)のファーストステージ(11月6日から)出場権を得る3位に迫る粘りを見せている。現在、調査中の〝意中の助っ人〟が獲得できれば、来季の躍進は十分に期待できる。実際に前田健太投手をポスティングで流失。戦力ダウンが心配された翌年の16年からリーグ3連覇を果たした。戦力の新陳代謝が進むことは全てにマイナスではない。

カープの3連覇にも貢献し、緒方前監督からは「神っている」と評された鈴木誠也。大リーグでも〝神った〟活躍が見たいものだ。

(特別記者)