原油高が収益や家計圧迫 コロナからの回復に重し

ガソリンスタンドの給油ノズル
ガソリンスタンドの給油ノズル

22日発表の全国消費者物価指数は1年半ぶりに上昇へ転じ、日本でも物価上昇と景気停滞が併存するスタグフレーションの兆しが出始めた。輸入に頼る原油など国際的な原材料価格の高騰が企業収益や家計を圧迫する。新型コロナウイルス禍からの回復に伴う世界的な消費行動や産業構造の変化が背景にあり、国内では伸び悩むエネルギー以外の価格との乖離(かいり)もみられる。

ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、物価上昇率について「年末には1%程度まで伸びを高める可能性が高い」と予想する。エネルギー価格は、足元の原油価格高騰で10月に2桁まで伸びると見込む。

ニューヨーク原油先物相場で指標の米国産標準油種(WTI)は20日、1バレル=84ドル台と7年ぶりの高水準を付けた。原材料価格の高騰は企業収益を悪化させ、やがて製品に転嫁され消費も冷やす。みずほ証券の試算ではWTIが20ドル上昇すれば日本の名目GDP(国内総生産)は約1%(5・5兆円)分下押しされる。

一方、海外では9月の消費者物価上昇率が米国は前年同月比5・4%、欧州のユーロ圏は3・4%に達した。経済再開が進んだ米欧は需要が高まった自動車や家電などの供給が追い付かず価格が上昇。企業の増産で原材料や電力需要が高まったうえ、産油国による減産も重なり原油価格などの高騰にもつながっている。

ただ、日本の9月の消費者物価上昇率は、生鮮食品に加えエネルギー価格も除く指数では0・5%下落と前月比で横ばいだ。経済再開の遅れによる個人消費の低迷に携帯電話料金の値下げも加わり、エネルギー以外はまだ弱含む。今後は行動制限の緩和で消費回復が期待されるが、外圧による原材料価格の上昇は、ようやく途に就いた日本経済の回復を妨げる恐れがある。(田辺裕晶)