10月8日夕、岸田文雄首相(自民党総裁)は中国の習近平国家主席と就任後初の電話会談を行った。首相は、中国海警局の船が周辺海域への領海侵入を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)や、人権弾圧が深刻化する香港、新疆(しんきょう)ウイグル自治区の問題を取り上げた。会談後、記者団に「日中両国はさまざまな問題もあるが、主張すべきはしっかり主張し、今後も率直に議論していきたい」と述べた。
首相が外相だった当時、日中関係は尖閣や南シナ海などの問題をめぐり緊張状態にあった。外相退任後、一昨年6月には習氏の国賓訪日が決まるなど改善の動きもあったが、首相は周囲に「中国は米国とうまくいっていないから日本に接近している」と語るなど、厳しい視線を向けていた。
今回、李克強首相ではなく、習氏が自ら岸田首相に就任の祝意を伝えたのも、バイデン米大統領との会談を控え、日本と良好な関係を維持したい思惑がにじむ。