主張

ドコモ通信障害 インフラ担う自覚を持て

携帯電話最大手のNTTドコモが14日に大規模な通信障害を引き起こし、総務省は電気通信事業法に基づく「重大な事故」と認定した。同省はドコモに対し、来月中旬までに詳細な被害報告と再発防止策を提出するよう求めた。

通信障害で音声通話やデータ通信がつながりにくくなった。普及が進む電子決済の一部も利用できず、幅広いサービスでトラブルが相次いだ。

ドコモは障害発生から約3時間後に「復旧した」と発表したが、その後も一部端末で障害が続いて完全復旧に29時間かかった。事実と異なる情報を発信して利用者の誤解を招いたのも問題だ。

通信サービスは、生活や産業を支える重要な社会インフラだ。これを提供するドコモは、社会的に重い責務を担っていると厳しく認識する必要がある。

14日午後5時過ぎに発生した通信障害で、ドコモの携帯電話やインターネットなどが使えなくなった。電子決済のほか、交通や物流などにも影響が広がった。タクシーや自動販売機などの電子決済用通信機器のネットワーク工事で不具合が生じたのが原因という。

同社は「約200万人が全く利用できなくなった」と説明している。だが、この通信障害でドコモから回線を借りている格安スマートフォン事業者の契約者も使えなくなった。その影響はかなり広範囲にわたったとみられる。正確な被害調査と再発防止に向けた工事手順の見直しが不可欠だ。

総務省は通信障害の影響が「3万人以上かつ1時間以上」などとなった場合、重大事故と認定し、通信会社に調査報告と再発防止策の提出を命じる。3年近く前にはソフトバンクが約3千万人に影響が出た大規模な通信障害を引き起こした。これも重大事故と認定されて行政処分を受けた。今回も厳正な処分が欠かせない。

とくに最近ではデータ通信が広く利用されるようになり、電子決済以外でも商品作物の生育データを収集・監視するなど、その用途は拡大している。通信障害が起きればその影響は大きく、サービスを担う企業はトラブル防止の徹底に努めなければならない。

通信障害の早期復旧は当然だが、ドコモは今回、先走った「復旧宣言」で混乱に拍車をかけた。トラブル発生時の情報提供のあり方も見直す必要があろう。

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