同床異夢 京都の立民・共産「共闘」

共産候補の選挙カーには野党の代表を強調するステッカーが貼られている=京都市内(渡辺恭晃撮影)
共産候補の選挙カーには野党の代表を強調するステッカーが貼られている=京都市内(渡辺恭晃撮影)

「野党共闘」が進む衆院選(31日投開票)で、京都府では立憲民主と共産の思惑に隔たりがみられる。国政では両党と社民、れいわの野党4党が政策協定を締結したものの、立民府連は共産との協力を否定。ねじれの背景には、かつての革新派府政への拒否反応が根強く残るとの京都特有の見方もある。初めて府内全6選挙区への擁立を見送り、最重要選挙区と位置付ける1区で「野党統一候補」を前面に掲げたい共産側の狙いに、立民はつれないまま、古都は選挙戦に突入した。

「ミスター野党共闘」?

「今度こそ野党の共同候補として、京都1区で勝利する」。公示日の19日、1区に立候補した共産前職の穀田恵二氏(74)はこう訴えた。応援演説に駆け付けた小池晃・党書記局長も「この人なくして野党共闘はなしえなかった。ミスター野党共闘だ」と持ち上げた。

共産は1区を「必勝区」としており、穀田氏の事務所には立民の党幹部らの激励文も掲示。14日に会見した党府委員会の渡辺和俊委員長は「事実上、野党統一候補だ」と強調した。

小選挙区制が始まった平成8年以降、共産は補選を除き府内全6区に候補者を擁立してきたが、今回は立民が擁立した3、6区について、府委員会は14日に野党共闘を順守して候補を立てず自主投票とすることを公表した。

一方、立民府連が9日に開いた会見では、泉健太会長が「京都では各党がしのぎを削りあってきた。京都で野党統一候補という考えはない」と明言。共産との選挙協力を否定し、公示直前まで1区への候補者擁立を模索した。党政調会長でもある泉氏は8月にも「国政での連携と地方の流れは別」と述べており、両党の隔たりは縮まらなかった。

蜷川府政「アレルギー」

国政では9月、両党を含む野党4党が政策協定を締結。その後、立民が政権交代した場合は、共産が「限定的な閣外協力」を行うことで合意した。ただ、立民の支持母体である連合の芳野友子会長は今月7日、「閣外協力もあり得ない」と不快感を示した。

これまで府内の選挙で立民と共産が協力関係を結んだことはなく、ある立民府連幹部は「府民の中には『共産党アレルギー』もあり、支持者からも共闘について批判的な声は多い。選挙協力は支持者離れにつながりかねない」と明かす。

理由の一つにあげるのが、旧社会党公認で当選し共産ともつながりが深い革新系の蜷川虎三(にながわとらぞう)知事の府政(昭和25~53年)だ。「あしき平等主義がはびこり、公立高の学力低下を招いたり道路整備が遅れたりと弊害も多かった」。革新色の強い共産への拒否感は、いまだに府内の有権者に根強いと主張する。

保守王国では競合

とはいえ、6選挙区のうち5選挙区で立民と共産は競合せず、両党がともに候補者を立てたのは「保守王国」とされる5区のみだ。渡辺委員長は「統一候補は勝てる見込みの高い選挙区に擁立しており、全選挙区での一本化は目指していない」と説明する。

一方、立民府連幹部の一人は「来年には参院選、その先には統一地方選があり、共産を含め他党が候補者を立てる。候補者空白の選挙区が生じることが怖い」と野党共闘で生じる矛盾を指摘した。

こうした状況に、自民府連幹部は「結局、立民は1区に擁立せず、共産との競合が生じなかった。選挙協力をしないと言いながら、実は中央の意の通りになっているのではないか」と警戒感を示した。

京都1区にはほかに維新新人の堀場幸子氏(42)、自民新人の勝目康氏(47)が立候補している。(平岡康彦)

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