天井がつぶれ、大きく折れ曲がった大型バスの写真がモニターに表示された。15人が死亡、26人が重軽傷を負った長野県軽井沢町のスキーバス事故で業務上過失致死傷罪に問われた被告2人の初公判は21日午後も続いた。長野地裁の法廷で改めて示された凄惨(せいさん)な事故の現実に、検察官の周囲に座っていた遺族らはうつむく姿を見せた。
事故車両の写真が表示されると、バス運行会社社長の高橋美作(みさく)被告(60)は前かがみになり、のぞき込んだ。検察官の説明を受ける際、時折小さくうなずき、表情を変えることはなかった。
当時の運行管理者、荒井強被告(53)に対しては「普段から運行管理者としての仕事をしていない」などと元同僚らが厳しく指摘する調書が読み上げられた。荒井被告は目線を手元のノートに落としたままメモを取り、表情の変化はうかがえなかった。