コロナで壊滅のインバウンド、再開の議論望む声

政府が「観光立国」を宣言したのが平成15年。27年にはインバウンドがアウトバウンド(日本人海外旅行者)を逆転し、令和元年の訪日外国人客は3188万人、消費額は4・8兆円に上った。2年に4千万人とする目標が現実味を帯びる中、コロナ禍で412万人に落ち込み、今年上半期は9万6300人だった。

国内有数の観光地、東京・浅草でも訪日外国人客の姿が消えて久しい。コロナ禍前、宿泊客の95%が訪日外国人客だった旅館「浅草指月(しげつ)」の飛田克夫社長(83)は「外国人が戻ってくるのをいつまで待てばいいのか」と話す。

浅草寺近くに昭和25年に創業し、70年以上の歴史を持つ。ビジネスホテルの台頭で旅館の経営が右肩下がりになる中、長男が英語を習い始めたのをきっかけに40年以上前から外国人客の受け入れを始めた。

日本の衣食住や旅館文化を伝える宿として欧米を中心に人気を集め、長期滞在やリピーターも多かった。それが新型コロナの感染拡大で、予約はほぼゼロになった。周辺では日本人客向けに切り替える土産物店も多いが、訪日外国人客を中心とした経営方針を変えるつもりはないという。

「インバウンドの受け入れは、日本の文化を世界に伝えていく意味でも重要。おもてなしの原点に立ち返り、また外国人客を迎えたい」。飛田さんはそう願っている。

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