自民、大都市苦境 東京「風」警戒 大阪は維新堅調

衆院選(31日投開票)に向け、岸田文雄首相(自民党総裁)や立憲民主党の枝野幸男代表ら与野党幹部は21日も全国を駆け回り、支持を訴えた。産経新聞社の序盤情勢調査で自民は単独過半数を維持する勢いだが、多数の選挙区で候補者を一本化した野党も浸透を図る。特に投票行動が読みにくい東京や、日本維新の会の地盤の大阪では接戦の選挙区が多く、自民は警戒を強めている。

「東京は有権者の入れ替わりが激しい。せっかく顔と名前を覚えてもらっても、次の選挙のときにはいなくなっていることも多い」

東京の選挙区に立候補した自民前職はこう漏らす。自民は一般的にドブ板選挙の徹底で地盤を強固にする戦略を得意とするが、人口の出入りが頻繁な東京では通じにくく、結果的に「風」に左右されやすい環境が生まれる。

新型コロナウイルス対応などで政権に批判が集まる中で行われた7月の都議選で自民は過去2番目に少ない33議席だった。岸田政権の誕生に伴い逆風は収まったが、「決して追い風に変わったわけではない」(党中堅)のが実情だ。

東京の25選挙区で自民は公明党とあわせ平成26年の前々回は23勝、前回の29年も20勝と結果を出してきた。今回は現時点で石原伸晃元幹事長(8区)や井上信治前万博相(25区)らも盤石とは言い難い情勢だ。政府与党への批判票を集めやすい立民や共産党などによる候補者一本化も不安要素で、甘利明幹事長らは21日、都内でマイクを握り、基本政策が異なる党同士の共闘を厳しく非難した。

大阪では19選挙区のうち、自民は公明候補が出馬した選挙区を除く15選挙区で維新と対決。大阪府知事でもある維新の吉村洋文副代表がコロナ対応でメディアに露出している影響もあって維新人気は根強く、現状で「当選確実」と言える自民候補は見当たらない。

自民に衝撃をもたらしたのが、政治資金問題を報じられた維新元副代表の辞職に伴い、3日に投開票が行われた府議貝塚市選挙区の補選だ。維新の不祥事がきっかけだったにもかかわらず、自民候補は大阪維新の会候補に大敗を喫した。

衆院選で自民は閣僚らを大阪に続々と送り込むが、ある自民候補は「新たな支援者を獲得しようと一歩外に出れば、周囲は維新支持者だらけ。逆風をまともに受けている」と苦り切った表情を見せた。(石鍋圭、清宮真一)

会員限定記事会員サービス詳細