新生銀行は21日、SBIホールディングスが実施中のTOB(株式公開買い付け)について反対を正式表明し、買収防衛策発動を諮る臨時株主総会を11月25日に開催すると発表した。銀行業界では異例の敵対的買収に発展した。SBIが買い付け上限を撤廃、買い付け額を現在の1株2千円から引き上げれば賛同に転じるとしたが、SBIは変更を拒否する姿勢を示した。
新生銀の工藤英之社長は21日の記者会見で現行のTOBは「株主の共同利益につながらない」と説明し、友好的な買収相手を含め提携先を探す意向を示した。
SBIは現在約20%の議決権比率をTOBで最大48%まで引き上げ、新生銀を連結子会社化する方針。新生銀は買い付け上限があることで少数株主が残ると指摘。SBIが自社の利益を優先して新生銀の経営方針を決めることで、これらの株主に不利益が生じる懸念があり、TOBの買い付け価格も、新生銀の経営権を握ることなどを考慮すると低い水準だとした。
新生銀は、こうした懸念を解消するためSBIに買い付け上限をなくすなどの条件変更を求めたが、SBIは同日、条件変更に応じないと発表した。
SBIが過半数の新生銀株を取得するには金融庁から銀行法上の認可を得る必要がある。現在約1164億円を見込む買収資金も膨らむため、条件変更のハードルは高い。新生銀は株主への配慮をアピールすることで、買収防衛策に理解を得たい思惑がありそうだ。