福岡10区 自民・山本氏、立民・城井氏と激突

立候補者の街頭演説に集まった聴衆=19日、北九州市小倉北区
立候補者の街頭演説に集まった聴衆=19日、北九州市小倉北区

衆院選(31日投開票)の福岡10区は、自民党前職の山本幸三氏(73)と立憲民主党前職の城井崇氏(48)による4度目の対決を軸に、激しい選挙戦が展開されている。公明党との選挙協力を深める山本氏に対し、城井氏は共産党も交えた「野党共闘」で雪辱を期す。前職2人に割って入る日本維新の会新人、西田主税氏(59)は、自公政権と野党共闘双方の批判の受け皿となることで票の上積みを狙う。

「岸田(文雄)首相とは何でも話せる、何でも頼める仲にある。しっかりと日本を安定させる政策を進めていきたい」

山本氏は19日の公示日、第一声でこう強調した。

山本氏は岸田氏が会長を務める自民党派閥、宏池会(岸田派)の副会長を務める。9月の党総裁選では議員票取りまとめの責任者として、岸田氏の勝利に貢献したという。

選挙戦では首相との親密ぶりを紹介し、自ら訴える政策の実現性をアピール。岸田政権の誕生を追い風にしようと懸命だ。24日には岸田氏が応援に入る方向で調整している。

■正念場

自民は比例代表候補の73歳定年制を原則としており、山本氏も比例代表に重複立候補していない。これまで福岡10区では山本氏が3回連続で当選を果たしているが、「今回は本当に厳しい。比例復活できず、小選挙区で負けたら政治生命の終わり。正念場だ」と気を引き締める。

強い危機感の背景には、今年1月に行われた北九州市議選での大敗がある。自民は、立候補した22人のうち6人が落選した。特に10区内では、そのうち当選10回の重鎮を含む4人が議席を失った。

選挙の実動部隊を担ってきた地元市議の勢力が弱まったことで「支持層をまとめ切れない可能性もある」(自民関係者)。一方で、別の自民関係者は「地元の県議、市議におんぶに抱っこでは駄目だ」と冷ややかだ。

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