遠隔操作「アバター」を人材派遣 パソナ、ベンチャーと協業

人材派遣大手「パソナグループ」は20日、大阪大発のベンチャー企業「AVITA(アビータ)」と共同で、遠隔地から自らの分身のようにコンピューターグラフィックス(CG)やロボットを動かす「アバター」技術を生かした新たなサービスを始めると発表した。11月中に兵庫・淡路島に人材育成・教育施設を開設。年内には接客販売を行うアバターを「人材派遣」する。今後、1人で複数のアバターを操作する仕組みも整える予定で、アバターによる就業が年齢や勤務地などの制約を受けないことから、両社は「少子高齢化に向け、新たな雇用創出につながる」と話している。

パソナ、AVITA両社が協業するのは「アバター人材雇用創出プロジェクト」。パソナがマネジメントなどを行い、アバターの技術開発などはAVITAが担う。販売や営業、受付案内、相談などの対人接客業務をアバターが行う人材派遣のほか、これらの業務委託サービスなどを想定している。

当面はCGによるアバターで業務を実施。業務の従事者は、兵庫県淡路市に開設する「淡路アバターセンター」で、アバターの操作方法、笑ったり、頷いたりなどの表情の作り方、接客業務の内容に応じたコミュニケーションの取り方などを学ぶ。その後、実際の店舗などに派遣されたアバターをセンター内のパソコンを使って操作する。

年内に販売サービスを行うアバターを大阪市内の店舗に派遣するほか、パソナグループが淡路島で展開する飲食、宿泊施設などの案内窓口「淡路コンシェルジュアバター」を開設する。来年以降に事業を本格化し、今後3年間で「働くアバター」を操作できる従事者1000人の育成を目標としている。また、大型店舗などの案内業務などを対象に、1人で複数のアバターを操作することも検討。アバター操作の資格認証も行う計画だという。

アバターは遠隔操作が可能で、身体的な負担もないことから、年齢や障害、性別の制限を受けず、勤務地も関係なく働くことができる。災害などの緊急時に直接支援ができない場所での活用も想定される。

アバター活用をめぐっては、内閣府が主導して先進的な技術革新を目指すプロジェクトの目標に「2050年までに誰もが場所や能力の制約を超えて社会活動に参画できる技術開発」としてアバター導入を明記。多様な働き方ができる社会の構築につながると期待されている。具体的な動きも既に始まっており、アバターロボットを活用した疑似旅行体験サービスを、ANAグループのロボットベンチャーが今夏、試験的に実施している。

2025年大阪・関西万博のプロデューサーを務めるロボット工学者で、AVITAの最高経営責任者(CEO)の大阪大学大学院の石黒浩教授は「25年の万博で働くアバターを導入し、万博から『新たな働き方』を世界に発信したい」と話している。