街行く路面電車

日本一の急カーブ 豊橋鉄道市内線

井原交差点の鉄道路線の日本一急なカーブを左折する路面電車=愛知県豊橋市
井原交差点の鉄道路線の日本一急なカーブを左折する路面電車=愛知県豊橋市

愛知県豊橋市の豊橋鉄道市内線は全線約5キロと短い。ただ、変化に富む沿線の景色や季節ごとに趣向を凝らす特別車両など、乗る度に新しい発見がある。

街の先に沈む夕日を背に行く豊橋鉄道市内線の路面電車。重低音を響かせながら坂を上がり、姿を現した=愛知県豊橋市
街の先に沈む夕日を背に行く豊橋鉄道市内線の路面電車。重低音を響かせながら坂を上がり、姿を現した=愛知県豊橋市

まずは起点のJR豊橋駅前から電車に乗った。出発すると、レトロ調の街路灯が並ぶ駅前大通りから、国道1号に乗り入れる。東海道をルーツとする国道1号を走る路面電車は唯一無二だという。

安全地帯が無い東田電停。車に注意しながら乗客は電車に乗り込む=愛知県豊橋市
安全地帯が無い東田電停。車に注意しながら乗客は電車に乗り込む=愛知県豊橋市

1号線から別れると、力強くモーターが回り、重低音をあげる。停留場の前畑(まえはた)から東田坂上(あずまださかうえ)までは急坂だ。ここを駆けあがると、町並みが夕焼けで染まる撮影スポット。電車を降り、カメラを構えた。夕日が少しずつ沈み、坂の下から電車の車体が浮き上がるように姿を現した。待っていた瞬間。夢中でシャッターを切る。

夕暮れの国道1号線で車と並走する電車=愛知県豊橋市
夕暮れの国道1号線で車と並走する電車=愛知県豊橋市
日本一急なカーブを車体をはみ出しながら曲がる=愛知県豊橋市
日本一急なカーブを車体をはみ出しながら曲がる=愛知県豊橋市

運行に40年間携わる今泉隆優(たかまさ)さん(62)は、ここが一番好きな場所という。「秋分の日のころは、太陽の落ちる位置が正面へと変わっていきます。一番いい時期ですね」

井原交差点の鉄道路線の日本一急なカーブを右折する路面電車=愛知県豊橋市
井原交差点の鉄道路線の日本一急なカーブを右折する路面電車=愛知県豊橋市

終点に近い井原交差点では、半径11メートルという日本一急なカーブ。電車は線路から外れるように曲がる。線路から大きく車体をはみ出しながら走行する姿はなかなかの見ものだ。

競輪場前の留置線は民家の駐車場のような佇まいだ=愛知県豊橋市
競輪場前の留置線は民家の駐車場のような佇まいだ=愛知県豊橋市

一方、平成5年から始めた飲食を車内で楽しめる特別車両も大人気。中でも冬場に、おでんを振る舞う「おでんしゃ」は今や豊橋の冬の風物詩だが、コロナ禍で昨年は途中で中止になった。再びおでんを車内でいただける日が待ち遠しい。

(写真報道局 永田直也)