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国学院大が来春、観光まちづくり学部開設 地域活性と観光つなぐ人材育成

観光まちづくり学部長に就任予定の西村幸夫教授
観光まちづくり学部長に就任予定の西村幸夫教授

日本文化の研究に長い歴史を誇る国学院大学(東京都渋谷区)は来年4月、『観光まちづくり学部』を開設する。少子高齢化や新型コロナウイルスの感染拡大による観光業低迷など、社会が変化していく中、地域活性化への視点を軸にしたのが特徴で従来の観光学部と一線を画する。歴史や文化をみつめて、観光を中心にしたまちづくりを考える異色の新学部誕生となりそうだ。

「国学院大学は全国の神社にネットワークを持つ。地域の祭りの多くが神事。その祭りは、担い手が高齢化し、継承してきたことができなくなってきている。安定的な地域経済、交流人口の増加など、諸課題を包括しながら、地域を元気にするために大学ができることは何か-と考えてきた」

学部長に就任予定で、新学部設置準備室室長の西村幸夫教授は、観光まちづくり学部開設の背景について、そう説明する。

既存の観光学部では、インバウンド(訪日外国人旅行)に焦点をあて、国内外の観光関連企業などで活躍する人材を輩出してきた。一方、観光まちづくり学部では、ビジネスとしての観光と住みやすく魅力的な地域を創造するまちづくりという異分野を融合させ、『観光まちづくり』への提案と実践ができる人材育成を目指す。

観光の未来について語る西村幸夫教授(右)と、たいとう歴史都市研究会理事長の椎原晶子教授=東京・谷中の「桜木あたり」(国学院大学提供)
観光の未来について語る西村幸夫教授(右)と、たいとう歴史都市研究会理事長の椎原晶子教授=東京・谷中の「桜木あたり」(国学院大学提供)

西村氏は「観光といっても、地域に害をもたらす取り組みは続かない。地域活性化も、経済的効果が見込めないものは難しい。約20年前から、両者を共存させる研究は続いてきた。コロナ禍で観光は大きな問題を抱える。目の前の多様な社会課題が、学問に取り組むモチベーションになるのでは」と指摘する。

カリキュラムは、ユニークで幅広い。①社会②資源③政策・計画④交流・産業-の4分野を中心に、民俗学や風景計画論、住民参加と合意形成、アート、田園回帰論など、古典ともいえる学問から、今注目されるテーマまで、幅広い領域を網羅する。

こうした学問を土台にして、課題解決を実現していくための知識として、データサイエンスやプロダクトデザインといったメソッド科目を用意。言語スキル向上やグループによる課題探索・解決型演習などにも力を入れていくという。

西村氏は「学問の力で地域の宝を掘り起こしていく。その資源を磨き、未来につなげる人材を育て、新しい観光の方向性を提案していく」としている。

〝文理融合〟課題解決へ垣根なし 西村教授

新学部の特徴の一つは文理融合。西村幸夫教授自身は東京大学進学時、「文系か理系か」で迷った。専門分野は都市工学。「でも、論文に数式が出てこない」と笑う。

長年、都市計画に携わってきた。高度経済成長期の都市計画は、渋滞解消や日照権といった問題を解決するための学問だった。しかし、「いかに地域の個性をいかし、長期的に魅力的な都市を創造できるか」というテーマに関心が向いた。

時代は変化し、社会に良い影響を与える〝ソーシャルグッド〟が注目される。「社会が求める答えは多様。答えに至る手段として、文理を超えた教育が大切になってくる。学問領域を幅広く広げ、社会の役に立ちたいと意気込む学生を迎えたい」と話している。