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国内感染者が過去最多 新型コロナ「第6波」

点滴連続死公判詳報

(下)死亡翌日に遺族が菓子折り「胸が苦しく…」

横浜地裁
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《横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院、休診中)で平成28年、高齢の入院患者3人の点滴に消毒液を混入させ中毒死させたとして殺人罪などに問われた元看護師、久保木愛弓(あゆみ)被告(34)の裁判員裁判第9回公判は、久保木被告への被告人質問が続いている》

《弁護側、検察側に続き、被害者参加制度に基づいて、最初の犠牲者とされる興津朝江さん=(78)=の遺族の代理人弁護士が質問を始めた》

代理人「看護師のキャリアのなかで、苦しみながら亡くなる患者を見たことがあるか」

久保木被告「はい」

代理人「興津さんが苦しむとは思わなかったのか」

久保木被告「申し訳ないと思うのですが、想像ができませんでした」

《今月1日に行われた初公判では、興津さんが亡くなった当日に勤務していた看護師の供述調書が読み上げられた。興津さんは、消毒液「ヂアミトール」が混入された点滴を投与されると、トイレの便器が真っ赤に染まるほどの血尿の症状が現れ、「おなかが痛い」と訴えた末に、亡くなった》

代理人「当時、同僚から(興津さんがどのように亡くなったか)聞いていたか」

久保木被告「当時は、詳しくは聞いてなかったと思います」

代理人「では、今はどう思うか」

久保木被告「どれだけひどいことをしてしまったか、痛感しています。ただ、言葉でどう表現していいか分かりません」

代理人「自分の両親が同じようなことをされたらどう思うか」

《こう問われると、久保木被告は間を置かず、こう返答した》

久保木被告「許せないと思います」

《続いて、2人目の犠牲者とされる西川惣蔵(そうぞう)さん=当時(88)=の遺族の代理人が、質問を始める。西川さんの容体が急変した際、久保木被告が西川さんの遺族に連絡をしたことなどを確認した上で、代理人はこう続けた》

代理人「西川さんが亡くなった翌日、西川さんの長女がナースステーションに、菓子折りを持ってお礼にきたことを知っているか」

《消毒液を混入されたことなどつゆ知らず、それまでの看護に感謝の意を示した遺族。その様子を見て、被告は何を感じたのだろうか》

久保木被告「知りませんでした。それを知って、とても胸が苦しくなりました」

代理人「西川さんは入院中、迷惑をかけるようなことをしていたか」

久保木被告「いいえ」

代理人「犯行後、自分の両親に会って、どう思ったか」

久保木被告「両親はかけがえのないものだと思いました。ご遺族にとって、かけがいのない命を奪ってしまったと思います」

《久保木被告は捜査段階の調べに対し、点滴に消毒液を混入させる行為を「2カ月ほどの間に20人くらいやった」と供述。そのことを念頭に置いてか、代理人は「西川さんの顔を覚えているか」と久保木被告に問いかけた》

久保木被告「入院時のことは覚えていませんが… 申し訳ない気持ちになりました」

《その後、裁判官がこれまでの公判での久保木の発言で「いくつか確かめたいことがある」とし、犯行に及んだ際の身体の向きなど、細かい点について質問を始めた。小声だが比較的よどみなく答えていく久保木被告。最後に、裁判長からこう確認があった》

裁判長「今日も薬を飲んで公判に臨んでいるのか」

久保木被告「はい」

裁判長「公判の最中、薬の量や種類は変わっていないか」

久保木被告「はい」

《ここでこの日の公判は終了。22日には論告求刑公判が行われ、久保木被告の最終陳述が予定される。裁判長から「よく準備して臨んでください」と声をかけられると、久保木被告は小さく「はい」と返事をし、うながされて弁護側の席に戻った。服用しているという薬の効果もあるのか、大きな感情の起伏は見られず、終始落ち着いた様子だった》=(終わり)