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千葉商科大学・原科幸彦学長 地域分散型エネルギー社会の構築に貢献

千葉商科大学の原科幸彦学長
千葉商科大学の原科幸彦学長

〝自然エネルギー100%大学〟を目指す千葉商科大学。メガソーラー野田発電所を運用するなどして、学内発電量と消費電力量を同量にする目標を達成した。学生は専門分野だけではなく、環境保全活動を通し、大学の未来形成に参画できる学びの独自性を持ち合わせる。各プロジェクトを牽引(けんいん)する原科幸彦学長が次に見据えるのは、地域分散型エネルギー社会の実現だという。(聞き手・宮田奈津子)

--先駆的な環境対応への取り組みのきっかけは

「建学の精神でもある商業道徳の涵養(かんよう)という考え。商業は人との交流であり、社会を守る倫理がなければできない。社会との関わりにおいて、地球温暖化対策など、環境がキーワードになってきた。社会への貢献という伝統を引き継ぐ形で、さまざまな環境対策プロジェクトが動き出した」

--どのようなプロジェクトを展開してきたか

「平成15年、国際環境規格『ISO14001』の認証を取得。キャンパスの二酸化炭素排出量を10%削減する目標を掲げ、環境政策を考える公開講座を東京・丸の内で開催してきた。メガソーラー野田発電所も稼働し、省エネ・創エネプロジェクトも始動。エネルギーサービス事業を展開する『CUCエネルギー株式会社』も設立した。時代の変化もあるが、周囲の理解を得ながら、取り組みの輪が広がっていった」

--学びへの影響は

「学生らが毎夏、『打ち水で涼しく大作戦』を実施している。こうした活動は環境に興味を持ってもらうきっかけになる。新入生が『学内の自動販売機が多すぎる』と提案した。販売量や電力使用量を分析し、自販機の設置企業と議論して適正数を導き出した。エビデンス(根拠)を持って動くと、社会は応えてくれるという学びにつながった」

--自然エネルギー100%大学を宣言した

「野田発電所や市川キャンパス屋上太陽光パネル、すべての建物照明のLED化、省エネ活動を通して、平成30年度には学内の発電量と消費電力量を同量にする目標を達成した。次は発電量とガスも含めた総消費エネルギー量を同量にすることを目指す」

--活動は学内外に広がっている

「日本は太陽光や風力、小水力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの宝庫で、活用するための技術力も高い。しかし、社会が必要としなければ、応用されないため、学内外のネットワークが重要になる。今年6月、和洋女子大学など計9大学による自然エネルギー大学リーグを設立した。知見を共有し、脱炭素社会やエネルギーの地産地消ともいえる地域分散型エネルギー社会作りに貢献していく」

--どのような人材育成を目指していくか

「環境への取り組みが知られるようになり、意欲的な学生が集まっている。専門家は、義と勇を持ち、正しいことを貫く。人の心に寄り添う仁も大切だ。発信力を伸ばし、周囲の反応を引き出せる人を育てていきたい」

はらしな・さちひこ 昭和21年生まれ。東京工業大学理工学部卒、同大学院理工学研究科博士課程修了(工学博士)。同大教授や千葉商科大学政策情報学部長などを歴任、平成29年から現職。専門分野は社会工学、環境計画・政策、参加と合意形成。