私はこうみる 衆院選

岸田政権、台湾有事で何をするのか 米ランド研究所上級政治研究員 ジェフリー・ホーナン氏

米ランド研究所のジェフリー・ホーナン上級政治研究員 (寺河内美奈撮影)
米ランド研究所のジェフリー・ホーナン上級政治研究員 (寺河内美奈撮影)

岸田文雄首相は日米同盟にいかなる変化も示唆していない。米国からみれば非常に前向きな点だ。岸田政権は自衛隊の能力や米国との協力を強め、中国や北朝鮮の問題については強固な立場を取るだろうという期待が米国にはある。

敵基地攻撃能力や防衛費のGDP(国内総生産)比2%という自民党の公約は、「日本は先制攻撃能力を持つつもりだ」とか「防衛費を劇的に増加していく」というように人々の期待を高めていく。

しかし、公明党が連立与党の一翼を担っており、防衛費をすぐ2%に増額することはないといって差し支えない。敵基地攻撃能力に本気で取り組む前にやるべきことがある。

防衛には真剣だというサインを送るのは大事だが、この時点ではまだ非現実的だというシグナルなら、失望してしまう人々が米国にはいるだろう。

一方で、岸田氏は台湾に関するいかなる課題も後戻りさせていない。日韓関係では文在寅(ムン・ジェイン)大統領と対話していくという合図を送った。これは前向きな一歩だ。ただワシントンには、台湾有事の際に日本は何をしようと考えているのか、もっとはっきりさせてほしいという意見がある。

例えば、中国が台湾に侵攻したら、「日本は潜水艦を東シナ海に送るのか」とか「南西諸島にある地対艦ミサイルを使うのか」ということだ。米国は日本に明瞭さを求めている。なぜなら米国はこの戦闘を戦うのだし、十中八九、日本から出動して戦うのだし、日本も関与するのだから。

日本は台湾を国と認めていなくても、民主主義を共有する隣人だ。当局者やそのOBが対話をしていくことは非常に重要だ。米国の同盟諸国がもっと台湾と話をすれば、中国へのメッセージにもなる。

岸田氏には、派閥の支持があり政治的な基盤がある。世論的には、河野太郎氏のような絶大な人気はない。今回の総選挙は、国民が現実に党の顔として岸田氏をどう評価するかを見るうえで非常に重要。岸田氏の将来を決定づけるだろう。

(聞き手・ワシントン 渡辺浩生)