英国で今月末から開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を前に、中国政府は国内の主要な石炭産地で炭鉱の生産能力を大幅に増強するよう指示を出した。中国では石炭火力発電が主力で、国際的な石炭価格の高騰などを背景にした電力供給不足の解消のためだ。一方、習近平指導部は温室効果ガスを多量排出する石炭火力の削減も表明したが、その意図には「エコ」とはほど遠い、国内外での主導権争いという利己主義的な「エゴ」も透けてみえる。
「石炭不足は年末まで、もしくは暖房需要が終わる来年の2月か3月以降まで続くだろう」。ロイター通信は6日、中国の深刻な石炭不足について、北京で資源輸入に関わる関係者の悲観的な見通しを伝えた。
中国では、オーストラリアから輸入したまま数カ月以上も港に留め置いていた石炭について、国内へ移動する動きも見え始めたという。オーストラリアが新型コロナウイルスの発生源調査を求めたことに反発し、昨年から大麦やワインへの制裁関税を発動し、石炭についても輸入制限措置をとって非公式な制裁圧力を加えてきたが、背に腹は代えられなくなったのだ。