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㊤宮城5区 〝鉄壁の要塞〟に挑む元タレント

立憲民主党の安住淳氏と、自民党の森下千里氏の一騎打ちとなった宮城5区のポスター掲示板=19日、石巻市 (大柳聡庸撮影)
立憲民主党の安住淳氏と、自民党の森下千里氏の一騎打ちとなった宮城5区のポスター掲示板=19日、石巻市 (大柳聡庸撮影)

選挙区は8連勝中

「〝鉄壁の要塞〟をどこまで攻められるか」

自民党宮城県連の幹部はこう語る。鉄壁の要塞とは、立憲民主党前職で宮城5区から9選を目指す安住淳氏の陣営だ。旧民進党が分裂したため無所属で出馬した前回も、自民候補にダブルスコアに近い得票で圧勝した。立民の国対委員長として抜群の知名度を誇る安住氏に対抗するため自民が擁立した候補が元タレントで新人の森下千里氏だ。

「お年寄りは〝めんこい(かわいい)〟子が来たなあと思うだろうけど」。安住氏は、面識のない森下氏の印象をこう語った上で「20歳程度の差は、政界では同じ世代だと思う」と余裕の表情を浮かべる。

安住氏は公示日の19日に美里町での遊説で「(野党共闘で)二大政党に一歩踏み出した」と述べ、政権交代の必要性を訴えた。「地元に帰れば、小さな集会にも参加する」(立民県議)といった地道な活動も惜しまず、盤石の地盤を築いている。平成17年の郵政解散・総選挙、自民が政権を奪還した24年の衆院選でも勝利しており、現在8連勝中だ。

だが、今回の選挙は「国民に考える時間を与えないためではないか」と安住氏が苦言を呈するほどの短期決戦。党の顔の一人として応援演説で全国を飛び回り、地元を留守にすることも多いだけに、陣営では政策などを記したリーフレットを半年かけて選挙区全域に配布するなど引き締めを図っている。

つじ立ち1600回

一方、今回が選挙初挑戦の森下氏は「胸を借りるつもりで頑張る」と意気込む。森下氏はタレントとしてテレビ番組に多数出演していたが、23年の東日本大震災の発生当時に被災地を訪問。「たくさんの人の役に立ちたい」と思ったといい、令和元年に芸能界から引退し、政治家を志した。

宮城5区は、自民が擁立を予定していた元衆院議員が石巻市長選に回り、空白が生じた。そこで自民は候補者を公募。関係者によると、県選出の国会議員の人脈を頼り、森下氏に白羽の矢が立ったという。

19日に石巻市で第一声を上げた森下氏は「健康寿命を延ばす施策に取り組む」と訴えた。名古屋市出身で地盤がないことも自覚しており、6月以降は街頭での「つじ立ち」を約1600回も重ねてきた。16日には石巻市を視察した岸田文雄首相(自民党総裁)が参加した地元女性の対話集会にも出席するなど、票の掘り起こしに躍起だ。

だが、宮城で自民の議席がないのは5区だけ。ある自民県議は「5区の中心である石巻市が一枚岩ではない」と打ち明ける。平成15、17、21年の衆院選で自民候補として安住氏に3回も敗れた石巻市の斎藤正美市長が、安住氏支持を表明していることがその象徴だ。斎藤氏が安住氏支持を表明したのは、4月の市長選で安住氏が斎藤氏の支援に回ったことが背景にあるとみられる。

鉄壁の要塞を崩すためには、それを超えるだけの「結束」が自民側に問われている。(大柳聡庸)

衆院解散からわずか5日で突入した今回の選挙は、野党が候補者の一本化を図るなど与野党一騎打ちの構図となっている。注目される東北の選挙区を3回に分けて紹介する。