自民単独過半数が分岐点 大幅減なら首相の求心力低下

19日公示された第49回衆院選(定数465)は、自民党が議席をどの程度維持できるかが焦点だ。安倍晋三政権下などで過去3回の衆院選では大勝したが、岸田文雄政権発足直後のご祝儀相場を加味しても、上積みは困難とみられ、減少幅が今後の政権運営の行方を左右することになる。

首相は勝敗ラインについて、自民、公明両党の与党で過半数(233)と設定している。だが、公示前勢力は自民276、公明29の計305議席。組織票の固い公明の議席維持を前提にすると、自民は72議席減の204議席を獲得すれば達成でき、ハードルは低い。

そこで注目されるのは、自民が単独過半数(233)を維持できるかだ。44以上議席を減らせば過半数割れに陥る。この場合、公明と政権を維持できても、首相の求心力低下は避けられない。菅義偉前首相の退陣で党勢は持ち直しつつあるが、それでも30前後の減少を予想する向きはあり、予断は許さない。

予算や法案を円滑に通すためには、与党で全常任委員長ポストを独占し、各委員会で半数を確保できる安定多数(244)が求められる。自民は最低でも61減となる215議席以上の確保は必要となる。

さらに、各委員会で過半数の確保が可能となる議席数の絶対安定多数(261)を得るには、自民は過半数とほぼ同水準の232議席を取る必要がある。

憲法改正に前向きな「改憲勢力」が発議に必要な3分の2を獲得できるかどうか、今回は争点として目立っていない。公示前は自公に日本維新の会(11)を入れた3党で3分の2を超えていたが、自民の党勢が回復途上ということもあり、首相も「選挙だけで3分の2を確保するのは無理がある」と語る。

一方、立憲民主党や共産党などは、全289選挙区のうち210超で候補者を一本化した。立民は公示前の110議席からどの程度上積みし、政権交代に向けた足掛かりを築けるかが問われる。逆に増加幅が微少に終われば、共産との「限定的な閣外協力」などに踏み切った立民の枝野幸男代表の責任が問われかねない。(坂井広志)