首相「万全の態勢」強調 北発射で遊説切り上げ

国家安全保障会議を終え、記者団の取材に応じる岸田首相=19日午後、首相官邸
国家安全保障会議を終え、記者団の取材に応じる岸田首相=19日午後、首相官邸

北朝鮮が19日に弾道ミサイルを発射したことを受け、政府は国家安全保障会議(NSC)を官邸で開いた。岸田文雄首相は終了後、記者団に「敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう改めて確認した」と説明した。首相は同日公示された衆院選の自民党候補を応援するため東北を訪れていたが、予定を切り上げて急遽(きゅうきょ)東京に戻った。

首相は発射時に福島市に、松野博一官房長官は自身が出馬した選挙区がある千葉県市原市におり、いずれも東京を離れていた。首相はこの点を記者団から問われ、磯崎仁彦官房副長官が松野氏の職務を代理していたとし、「必要ならば自衛隊機ですぐ東京に戻れる態勢も整えていた」と説明した。

首相官邸の危機管理をめぐっては、最近では令和元年7月の参院選中に安倍晋三首相(当時)と菅義偉官房長官(同)が同時に東京を離れた日が17日に上ったが、官房副長官が待機して緊急時に備えていた。衆院解散後の平成29年10月も安倍氏が京都府、菅氏が北海道に出張して官邸を不在にしていたこともあり、今回の対応は前例を踏襲した形だ。

今回のケースでも緊急時に自衛隊機で東京に戻る手はずは整っていた。北朝鮮がミサイルを発射したことで日本に対して直接の影響はないと判断し、自衛隊機の使用は見送った。

それでも首相が応援演説の予定をキャンセルして東京に戻ったのは、危機管理対応に万全を期すためだった。首相は党首討論などで、自衛隊を否定する共産党と選挙協力する立憲民主党の有事対応能力に疑問を呈していた。

首相は福島市内で一報を聞き、その後に仙台市で街頭演説を行った後、新幹線で帰京した。官邸ではNSCを開いて関係閣僚に対応を指示したほか、記者団の質問には福島市内で応じたものも含めて1日3回答えた。この間、政府は首相官邸危機管理センターの官邸対策室に緊急参集チームを招集。関係省庁間で情報を集約して対応に当たり、外交ルールを通じて北朝鮮側に抗議した。