原点で再起へ 菅氏 地元市長選の悪夢払拭なるか

支援者らとグータッチを交わす菅義偉前首相=19日午後、横浜市南区(矢島康弘撮影)
支援者らとグータッチを交わす菅義偉前首相=19日午後、横浜市南区(矢島康弘撮影)

菅義偉前首相は衆院選が公示された19日、地元・横浜で出陣式に臨んだ。会場の一つである横浜市南区弘明寺町地区は、初めて衆院選に挑んだ25年前に事務所を構えた「原点」。9年ぶりに選挙戦初日に地元入りしたのは、首相辞任後に心機一転の再スタートを図る思いを表した形となった。

「私自身、9回目の選挙だが、今回ほど危機感をもって臨んだ選挙はない」

弘明寺町の商店街にほど近い駐車場でマイクを握った菅氏はこう強調した。衆院神奈川2区に立候補した菅氏が公示日当日に地元入りするのは平成24年12月の衆院選以来約9年ぶり。同地区は横浜市議だった菅氏が8年に初めて衆院選に挑む際、それまで地盤としていた同市西区に加え、神奈川2区内の南区や港南区でも支持を拡大するため事務所を設置した場所でもある。

首相在任中、菅氏は新型コロナウイルスへの対応で逆風にさらされ続けた。ワクチン接種を異例のスピードで進めたが、8月の横浜市長選では保守分裂の末、自民が推薦した候補が野党系の候補に敗北。地盤の神奈川2区でも敗れ、これが首相退陣に傾くきっかけの一つとなった。

だが、9月はじめの退陣表明後に全国の新規感染者数は急速に減少。今月18日には東京都の新規感染者数が今年最少の29人にまで下がった。菅氏はコロナ禍で年始に参拝できなかった伊勢神宮や靖国神社への参拝など徐々に動きを活発化させており、街頭で「ワクチンをありがとう」と聴衆から声をかけられることも増えた。

「10~11月にワクチンが行き渡り、感染が落ち着くという私の見立てはぴったり当たったでしょう」

最近、周囲にこう漏らした菅氏の表情は安堵(あんど)と悔しさが入り交じっていた。

菅氏は選挙期間中、自身を慕い、首相在任中に菅氏を支えた若手らの応援演説で全国を行脚する。官房長官時代に基地問題や観光振興に取り組んだ沖縄県や生まれ故郷の秋田県なども訪れる予定だ。

一方の野党は神奈川2区で共産党が公示直前に候補者擁立を取り下げ、立憲民主党の元職、岡本英子氏に一本化した。菅氏のコロナ対策を批判し横浜市長選に続く「金星」を狙う。

市長選の敗戦を払拭し、若手議員らを当選へと押し上げることができるか。菅氏にとって、今回の衆院選は再起に向けた試金石となる。

(大島悠亮)

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