がん電話相談から

卵巣がん手術後5年で再発、化学療法への不安

Q 72歳女性です。15年前に卵巣がんのステージⅡと診断され、卵巣がんが骨盤内臓器に強く癒着していたので、両側卵巣、卵管と子宮などを摘出しました。術後にパクリタキセルとカルボプラチンを用いる化学療法(TC療法)を6サイクル行った後に2度目の手術で骨盤リンパ節の一部と大網(胃から垂れ下がって大腸、小腸を覆っている大きな網のような脂肪組織)を切除しました。手術から丸5年が経過する前の平成23年、腫瘍マーカー「CA125」が120を超え、陽電子放出断層撮影(PET)とコンピューター断層撮影(CT)を組み合わせた「PET―CT検査」、磁気共鳴画像装置(MRI)検査で左骨盤底に2センチ未満の小病巣が見つかりました。手術後5年近くたってからの再発はよくあることなのですか。

A 卵巣がんの再発時期については初回手術後1年6カ月ぐらいがピークで、2年以内に80%が再発します。5年経過後の再発は数%ですから今回は珍しい再発です。

Q 初回手術後と同じ抗がん剤を用いる化学療法が選択されたのはなぜでしょう。

A 初回手術後5年近く経過した後の単独骨盤内再発なので、摘出手術を選択するほうが一般には多いでしょう。初回手術は癒着が強く困難であったこと、病巣が2センチ未満で小さかったこと、手術時に直腸の損傷・切除は避けられず人工肛門を余儀なくされる可能性があることなどから化学療法が選択されました。

Q 幸い3サイクルの化学療法でCA125は30未満になり、画像検査でも病巣が見えなくなりました。結局、さらに3サイクル追加して最初の再発治療は終了しましたが、約1年後にまたCA125が増加してきました。2度目の再発でも同じ化学療法でよいのでしょうか。

A パクリタキセルとカルボプラチンは1度目の再発病巣に著しい効果を示したので、2度目の化学療法でも同じ抗がん剤が選択されました。一般に最後の化学療法から6カ月以上の間隔があいていれば同じ抗がん剤で化学療法を行います。

Q 2度目も6サイクルの化学療法で、CA125は30未満に下がりましたが、その後、6~12カ月ぐらいの間隔で反復再発し、今年9月までに合計42サイクルのパクリタキセルとカルボプラチン化学療法を受けました。同じ抗がん剤をくり返し使うことに不安を感じます。

A 同じ抗がん剤を反復すると薬剤耐性が生じて、効果がなくなることが多いですが、今回は薬剤耐性が生じていないようです。薬剤耐性以外で心配なのはカルボプラチンアレルギーや骨髄機能損傷が骨髄異形成を招き再生不良性貧血・白血病などのリスクを高めかねないことです。主治医には今後、他の抗がん剤使用も考慮してもらいましょう。また、画像検査で同じ病巣が認められれば思い切って手術も考えましょう。

Q 2年前に分子標的薬のオラパリブやニラパリブを化学療法後に用いましたが薬剤性肺炎(間質性肺炎)が生じ、中止しました。がんの栄養を運ぶ血管新生を阻害するベバシズマブを併用したいのですが。

A 今回は2度の開腹手術後に2回腸閉塞(へいそく)を起こし、絶食療法を余儀なくされたそうですね。ベバシズマブを併用する場合、小腸の微小穿孔(せんこう)のリスクが高くなる(5~10%)ので主治医には、慎重に併用するよう求めましょう。

回答は、がん研有明病院の瀧澤憲医師(婦人科前部長)が担当しました。

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