勇者の物語

「稲尾神話」以来28年ぶり快挙 虎番疾風録番外編333

〝快投乱麻〟の活躍を見せる西鉄のエース稲尾=昭和33年
〝快投乱麻〟の活躍を見せる西鉄のエース稲尾=昭和33年

■勇者の物語(332)

昭和61年の日本シリーズは西武・森VS広島・阿南と〝1年生監督〟同士の戦いとなった。第1戦、2―2の引き分けのあと広島が3連勝。西武も第5戦、工藤のサヨナラ打で一矢報いると3連勝。3勝3敗1分けで第8戦を迎えた。

第8戦 10月27日 広島球場

西武 000 002 010=3

広島 002 000 000=2

(勝)渡辺2勝1敗 〔敗〕金石1敗

(S)工藤1勝1敗2S

(本)金石①(東尾)秋山②(金石)

西武は六回、先頭の清原が中前打で出塁。続く大田の当たりは遊ゴロ。併殺かと思われたが、清原が体を回転させる猛烈なスライディング。走者が一塁に残ると秋山が左中間スタンドへ同点2ラン。八回、ブコビッチの二塁打で勝ち越し、工藤で逃げ切った。

3連敗からの4連勝は33年に巨人を破った西鉄以来28年ぶり。あの「神様、仏様、稲尾様」といわれた〝伝説〟の日本シリーズ以来の快挙である。

33年の日本シリーズは10月11日、後楽園球場で、西鉄は33勝の稲尾、巨人は29勝の藤田両エースの先発で始まった。

①11日(後)巨人○9―2●西鉄

②12日(後)巨人○7―3●西鉄

③14日(平)西鉄●0―1○巨人

④16日(平)西鉄○6―4●巨人

⑤17日(平)西鉄○4―3●巨人

⑥20日(後)巨人●0―2○西鉄

⑦21日(後)巨人●1―6○西鉄

(後)は後楽園、(平)は平和台

1、3戦をエース稲尾で落とし3連敗の西鉄。ところが15日の第4戦が雨で流れ16日にずれ込むと、西鉄・三原監督は迷わず中1日の稲尾を先発に送った。序盤に3失点。だが打線が奮起。豊田の2打席連続ホーマーなどで逆転勝ち。ここから〝稲尾神話〟が始まる。

17日の第5戦、四回からリリーフした稲尾は3―3で迎えた延長十回、巨人の大友から左翼へサヨナラホームラン。舞台は再び東京へ。当時、この移動には2日間当てられており、また稲尾が使える状況に。20日の第6戦に先発した稲尾は3安打完封。第7戦も連投で先発。九回、長嶋にランニングホーマーで1点を奪われたものの6安打完投。

神様、仏様、まさに鉄腕・稲尾様。振り返るだけで息が詰まりそうになった。(敬称略)

■勇者の物語(334)

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