町工場 技術も施設も「みせる」時代 万博のサテライト構想も

昨年の「ファクトリズム」で行われた、インテリア製品の製作体験=大阪府八尾市の友安製作所(同社提供)
昨年の「ファクトリズム」で行われた、インテリア製品の製作体験=大阪府八尾市の友安製作所(同社提供)

地域の町工場が一体となって工場内を市民に開放する「オープンファクトリー」が活発化している。自社技術や設備を紹介してビジネスのヒントを探るほか、地域と町工場の魅力を発信しようという試みだ。町工場が集積する大阪府八尾市や東大阪市など府内5市では、2025年の大阪・関西万博でオープンファクトリーを万博のサテライト会場(別会場)に位置づける構想も進む。会社の垣根を越え、町工場が一体となって飛躍を目指す。

社員の自信に

「すごい技術はあるが、企業向け製品が多く、世の中でどう役立っているのか分からず、仕事に誇りが持てないのが中小零細の製造業の悩み」

八尾など5市で43社が参加し、21~24日に開かれるオープンファクトリー「FactorISM(ファクトリズム)」の実行委員長でゴム製品などを製造する錦城護謨(きんじょうごむ)(八尾市)の太田泰造社長は意義を語る。

町工場が集積するこの地域には、オンリーワンの技術をもつ中小企業は多い。

独自の特殊加工技術でステンレスに独特の黒色を着色し、トヨタ自動車の高級車、レクサスに採用されているアベル(同市)、調理後、持ち手を取り外してそのまま料理を提供できるフライパンをデザイン会社と組んで開発し、今年ドイツの世界的なデザイン賞「iFデザイン賞」を受けた藤田金属(同市)なども参加する。

イベント名は「ファクトリー(工場)」と「ツーリズム(観光)」を合わせた造語。町工場の公開で、まちの活性化につなげる狙いもある。

参加企業からは「一般の方の反応が社員らの自信につながる」(同市の業務用家具製造、オーツー)と期待の声があがる。

ファクトリズムは昨年初めてオンラインを中心に開催。町工場の製造現場を中継して、会期2日半で約3千人が視聴などで参加した。町工場の盛り上げに関わるため、八尾市職員を退職して同市の友安製作所に転職した松尾泰貴新規事業・広報部課長は「町工場をリアルに体験してほしい」と話す。

就職の選択肢

オープンファクトリーは製造業や伝統産業の集積地を中心に広がっている。

近畿経済産業局によると、管内の2府5県で平成27年、福井県鯖江市などの「RENEW(リニュー)」や大阪市の「大正・港オープンファクトリー」を皮切りに、この6年間で少なくとも10カ所以上で開催された。

通常、中小企業は電機や自動車など取引先の大手企業との関係から、製造現場は公開しないことが一般的だった。取引先の製品や技術は社外秘とする必要があったためだ。

近年オープンファクトリーが広がっている背景には、他社などとの交流を通じて新事業や自社製品を創出し、下請け依存からの脱却を模索する動きも後押ししているとみられる。ファクトリズムに参加する堺市のプラスチック成形業、河辺商会は「新ビジネスにつながりそうだ」と話す。

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