福岡5区は与野党一騎打ちへ 自民一本化も亀裂深刻

総決起大会で拳を突き上げる原田義昭氏(中央)=16日、福岡県朝倉市
総決起大会で拳を突き上げる原田義昭氏(中央)=16日、福岡県朝倉市

19日に公示される衆院選(31日投開票)で、福岡5区は、自民党前職で元環境相の原田義昭氏(77)と立憲民主党新人の元福岡県議、堤かなめ氏(60)が立候補予定で、与野党一騎打ちの激戦が予想されている。自民は懸念されていた分裂を回避したものの、原田氏と元自民福岡県議の公認争いによって支持層に生じた亀裂は深刻だ。対する立民は野党共闘が実現し「互角以上の戦いができる」と議席奪取に自信をのぞかせる。

 街頭で立憲民主党の枝野幸男代表(右)とともに手を振る堤かなめ氏=17日、福岡県太宰府市
街頭で立憲民主党の枝野幸男代表(右)とともに手を振る堤かなめ氏=17日、福岡県太宰府市

「公認に選ばれた以上、その大きな責任に応えていかなければならない。何としても議席を守り抜く」

原田氏は党本部による公認決定から一夜明けた16日午前、福岡県朝倉市で開いた総決起大会で支持者約150人を前に訴えた。ただ、同市は原田氏に対抗して出馬を予定していた元県議、栗原渉氏の地元。会場には空席が目立ち、公示目前にもかかわらず熱気を欠いた。

比例画策も不発

福岡5区では、昨年から1年以上にわたって原田氏と栗原氏が、支持層を二分する激しい公認争いを繰り広げた。9期目を目指す原田氏に対し、栗原氏は、県議選の対応など原田氏への不満を背景に若返りを求める地元県議らの後押しを受け出馬を決意した。

昨年12月には当時の山口泰明選対委員長が、今回は原田氏を公認し、選挙後に原田氏が栗原氏を後継指名する方向で仲裁に乗り出したが、まとまらなかった。原田氏が仲裁案を受け入れる考えを示すも「終生、政治家を続けるつもりだ」などと発言したため、栗原氏側に不信感が募り、事態は「ねじれにねじれた」(原口剣生県連会長)

「現職優先」を主張する原田氏と、地元7地域支部のうち5支部が支持していた栗原氏。結局、分裂だけは避けたい党本部が、当初山口氏が示した案に沿う形で裁定を下した。

15日午後4時、遠藤利明選対委員長と党本部で面会した栗原氏は、公認について「今回は原田氏、次回以降は栗原氏」とする「裁定書」を提示され、同5時までに決断するよう迫られた。隣室には岸田文雄首相(党総裁)、麻生太郎副総裁、甘利明幹事長が控え、結論を待っていた。関係者によると、遠藤氏は同意しない場合の「除名」にまで言及した。

無所属でも出馬する意向だった栗原氏だが、最後には裁定書に署名した。栗原氏は党本部で記者団に「言葉ではなかなか表せない」と目に涙を浮かべた。

自民関係者によると一時は「栗原氏公認、原田氏比例」との観測も浮上していた。しかし、直近の党の情勢調査では栗原氏が原田氏をリードしているものの、差はわずか数ポイントだったため、現職優先の方針が堅持された。

県議らが県選出国会議員を通じて栗原氏を比例代表で処遇するよう求める動きもあったが、党本部は「他の選挙区に示しがつかない」と受け付けなかった。