フォト特集&動画

「甑はひとつ」変わる島の生活 鹿児島、大橋開通から1年

海峡の複雑な潮流で建設に9年を費やした甑大橋。美しい景観はドライブでも人気だ =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
海峡の複雑な潮流で建設に9年を費やした甑大橋。美しい景観はドライブでも人気だ =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)

台風一過の日差しが厳しい中、島へ向かうフェリーの甲板は潮風が心地よかった。

鹿児島県薩摩半島の西に長さ約38キロの小さな列島がある。東シナ海に浮かぶ甑(こしき)島列島(薩摩川内市)は北から上甑島、中甑島、下甑島の3島で成り立ち、約4千人が暮らす。ユネスコの無形文化遺産に登録された伝承行事の「トシドン」やテレビドラマ化された人気漫画「Dr・コトー診療所」の舞台としても知られる。

甑(蒸し器)型の巨岩が島民に甑大明神とあがめられ、甑島の名の由来となった =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
甑(蒸し器)型の巨岩が島民に甑大明神とあがめられ、甑島の名の由来となった =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)

昨年8月、中甑、下甑島間に長さ1533メートルの甑大橋が開通し3島が陸路でつながった。

橋の整備以前、甑島の島々は「近くて遠い島」と言われていた。鹿児島県本土と各島を巡回する定期船があったが、本土と島との往来が主で島間での自由な移動はできなかった。

上甑で海鮮料理店を営む日笠山佳代さん(47)は「島や港によってとれる魚も日々違う。下甑に行かなければならない日も仕入れがしやすくなった」と話す。下甑には航空自衛隊の分屯基地があるため、名物のきびなご料理を求めて来店する関係者も増えたという。

奥の下甑島へ延びる甑大橋。船が下を通れるように中央が高くなっている =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
奥の下甑島へ延びる甑大橋。船が下を通れるように中央が高くなっている =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)

下甑に蔵をかまえ、芋焼酎「甑州(そしゅう)」を造る吉永酒造では以前、上甑や中甑への配達を業者に委託していたが、すべて社員による車での配達に切り替えた。川畑勇介さん(35)は「これまでなかなか会えなかった酒屋や飲食店の方々と、顔を合わせて商品を届けることができるようになった」という。

青く透き通った海と急峻な緑の山肌。穏やかな洋上をまっすぐに延びる巨大な橋。「近い島」が本当に近くなり、島民の生活も変わりつつある。(写真報道局 萩原悠久人)

中甑島と中島を結ぶ鹿の子大橋 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
中甑島と中島を結ぶ鹿の子大橋 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
奥の下甑島へと延びる甑大橋。奥は鹿島港から出港する「フェリーニューこしき」 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
奥の下甑島へと延びる甑大橋。奥は鹿島港から出港する「フェリーニューこしき」 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
夕日に照らされる甑大橋。奥は下甑島 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
夕日に照らされる甑大橋。奥は下甑島 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
鹿島港に入港する「フェリーニューこしき」 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
鹿島港に入港する「フェリーニューこしき」 =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
甑大橋の下を通る観光船「かのこ」。船上から島の断崖や奇岩を間近で見られる =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
甑大橋の下を通る観光船「かのこ」。船上から島の断崖や奇岩を間近で見られる =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
50年前に設置された鳥ノ巣山灯台は昨年、甑大橋の完成により役目を終えた =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
50年前に設置された鳥ノ巣山灯台は昨年、甑大橋の完成により役目を終えた =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
50年前に設置された鳥ノ巣山灯台は昨年、甑大橋の完成により役目を終えた。ライトアップされた橋の上空には満点の星空が広がった =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
50年前に設置された鳥ノ巣山灯台は昨年、甑大橋の完成により役目を終えた。ライトアップされた橋の上空には満点の星空が広がった =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)


長浜港でフェリーから下船する島民ら。橋の開通後も上甑島、下甑島それぞれの港に寄港している =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
長浜港でフェリーから下船する島民ら。橋の開通後も上甑島、下甑島それぞれの港に寄港している =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
甑大橋の開通により運行が始まった、島を縦貫するバスも住民の足となっている =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)
甑大橋の開通により運行が始まった、島を縦貫するバスも住民の足となっている =鹿児島県薩摩川内市(萩原悠久人撮影)