アマゾンの家庭用ロボット「Astro」に見るAIの進歩と、その先にある世界

最終的なゴールではない

極端なことを言えば、いまのスタイルのAstroが一般的な家電製品のようになるとは、まったく思わない。おそらくアマゾンも同じ考えでいるのだろう。だからこそ、Astroのテストに自発的に協力してくれる家庭にAstroを配置することで、そのエコシステムを拡大する方法を模索しているのだ。なにしろ、初期購入なら価格は999.99ドル(約11万円)である。

この点は、アマゾンでハードウェア部門を率いるデビッド・リンプが、『WIRED』US版の記事で認めている。「このロボットならではの用途」をユーザー自身が“発掘”するだろうとリンプは語っているのだ。

「アマゾンには学びを繰り返すだけの十分な資金力があります」と、ブルックスは言う。「そして実際に学習し、反復しているのです」

したがって、今回のAstroが最終的なゴールであるとは考えないほうがいい。いつの日か、人間のようにふるまうロボットが家庭内にやってくる。そして、おそらく警備のような仕事というよりも、ベビーシッターや高齢者の介護などを担うようになるだろう。

ことによると、それ以上の役割を果たしているかもしれない。最近のある調査では、回答者の40%がロボットとセックスしてもいいと答えているのだ(Astroは知らないほうがいい)。

手綱を握るアマゾン

アマゾンが特に関心をもっていることは、決して“セックスロボット”の提供ではない。その機能が何であれ、人間の新しい友人となるアンドロイドが、確実に音声アシスタント「Alexa」のシステムに接続されるようになることなのだ。

ハグはできても魂がないこれらの未来の“生物”は、AstroのDNAを受け継ぐことになる。ジェフ・ベゾスの巨大なAIネットワークにおいて、文字通り「歯車」になると考えればいいだろう。

いまのところAstroは、ペットのような存在になるだけでなく、スポーツの試合結果を伝えたり、物語を読んだり、祖母に連絡をとったりと、現時点でAlexaが担っている何千種類ものタスクをこなそうとしている。そしてアマゾンが9月24日に発表した家庭用ドアベルやカメラを内蔵した機器、家庭用の警備ドローンといったデバイスと文字通りタッグを組んで、そうしたタスクを実行することになるのだ。

四足歩行ではなく、車輪走行かもしれない。それでもAstroは介助犬のような存在である。そして手綱を握っているのはアマゾンなのだ。

会員限定記事会員サービス詳細