需要回復で海運混乱、生活必需品の値上げさらに?

中国江蘇省の港のコンテナ船=9月(CFOTO=共同)
中国江蘇省の港のコンテナ船=9月(CFOTO=共同)

新型コロナウイルス禍がもたらした海上輸送の逼迫(ひっぱく)は、いまだ収束の気配を見せない。当初の懸案だった貨物船のコンテナ不足などは改善されたものの、コロナ禍前の水準を上回る世界的な需要の急回復が荷動きの停滞解消を阻んでいる。コンテナ船の運賃高騰は食料品など輸入に頼る生活必需品に価格転嫁され、クリスマス商戦に向けた需要の高まりがさらなる値上げを招くことが懸念される。

「一般経費の圧縮など企業努力を重ねているが、それでは追いつかないレベルで物流費が高騰している」

11月納品分から家庭用や業務用製品を1キロ30円値上げする食用油大手、J-オイルミルズの担当者は声を落とした。大豆などの原料高に海上輸送のコスト上昇が重なり、今年4月から4回目となる値上げに踏み切る。年間の値上げ幅も計140円に上り、「これまで例にない状況」と漏らす。

大豆価格の高騰に伴い、油製品だけでなく、物価が上がりにくいとされる豆腐も値上げの動きが出始めている。さらに大手メーカーが小麦粉やパスタの値上げに踏み切るなど、身近な食料品への影響が相次ぐ。海運会社関係者は「食料品だけでなく、コンテナ船で運ぶ物は押しなべて価格が上昇している」と漏らす。

実際、コンテナ船の運賃急騰は著しい。国際的な主要航路である上海~ロサンゼルス間は8月時点で前年同期比と比べ約3・5倍、今年4月と比べても2倍以上に達した。野村総合研究所の宮前直幸氏によると、中国で自動車や機械、電機などの生産輸出が急回復した上、米国では〝巣ごもり消費〟で家具や玩具、家電などの輸入が増加し、アジア発・北米向けの貨物が急増したことが背景にある。