93歳が店長、最年少70歳の団子店「卑弥呼」

笑顔でみたらし団子を差し出す「まほろばの里 卑弥呼」店長の林千鶴子さん=奈良県桜井市
笑顔でみたらし団子を差し出す「まほろばの里 卑弥呼」店長の林千鶴子さん=奈良県桜井市

店長は93歳、店のスタッフのほとんどが70~80代という元気なお年寄りが働く団子店がある。奈良県桜井市の「まほろばの里 卑弥呼(ひみこ)」。同市には邪馬台国の女王・卑弥呼の墓との説がある箸墓(はしはか)古墳があり、市商工会女性部の出資を受け、店長の林千鶴子さん(93)が町を盛り上げようと始めた。「働くことが元気のもと」と断言する林さん。店を訪ね、そのパワフルさにふれた。

元気印のお年寄り

みたらし団子が名物の「まほろばの里 卑弥呼」。元気な店員らが出迎えてくれる=奈良県桜井市
みたらし団子が名物の「まほろばの里 卑弥呼」。元気な店員らが出迎えてくれる=奈良県桜井市

JR・近鉄桜井駅前で、真っ赤なのれんの「卑弥呼」の店はよく目立つ。店の名物は、しょうゆベースの素朴なタレが「甘すぎず辛すぎない」と評判のみたらし団子。もちもちした食感とさっぱりした味が好評だ。定番の五平餅も人気が高い。このほか、地元特産のそうめんなども並べられている。

店は午前9時半から、商品がなくなる夕方ごろまで営業。林さんは定休日の火曜以外は毎日出勤している。店で団子を焼く姿はてきぱきして力強いが、お客さんやスタッフと会話するときは、にこやかでやわらかい雰囲気だ。

「働く場所があることがありがたい」。店で訪れたお客さんと交流することが生活に張りを与えているという。

店では商工会女性部のメンバー13人も働いている。最年少は70歳、最高齢は93歳の林さん、と元気印のお年寄りたちで、店に来た観光客に桜井市内の名所を紹介することもある。

それぞれ自営業の経験があるため、店の切り盛りは慣れたものだ。会計担当の浦田文乃さん(85)は、「林さんは私たちがまねできないぐらい頑張り屋。店にとってなくてはならない存在で、尊敬している」とほほ笑んだ。

新型コロナウイルスの感染拡大により店は昨年4、5月は休業したが、現在は国の支援金などを活用し営業を続けている。市商工会の担当者は「生き生きと働き、活躍するスタッフを誇らしく思う」と話す。

「地元を盛り上げたい」

店がオープンしたのは林さんの地元愛と熱意からだった。

林さんは大阪市出身。昭和20年、高等女学校5年生だった17歳のとき、大阪大空襲にあい、妹と両親とともに父親の実家があった奈良市に避難した。その後、奈良で生活するようになり、県庁で働いていたことも。20代半ばに桜井市で自転車やバイクの修理販売店を営んでいた夫と結婚。夫とともに店を支え、市商工会女性部の部長も務めた。

「卑弥呼」を開くきっかけとなったのは北海道を訪れた際に地元商工会の運営する土産物店を見たことだ。

「うちの商工会でもできるかもしれない。何もない桜井駅周辺に、屋台でもいいから出店したい」。女性部がイベントで提供していた「みたらし団子」を提供する店を出したいと、十数年前に商工会に相談したのだった。