岸田文雄首相は15日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と就任後初めて電話会談を行った。首相は文氏に対し、韓国最高裁のいわゆる徴用工判決や慰安婦に関する日韓合意違反などを国際法違反とし、韓国側に対応を求めた。北朝鮮による拉致問題の解決に向けた韓国側の協力を要請し、文氏は日本の立場を支持した。
菅義偉(すが・よしひで)政権では韓国側が他国に先駆けて首脳会談を申し入れたが、実現したのは政権発足8日後だった。岸田政権はさらに遅く、発足から11日後となった。
首相は会談後、官邸で記者団に、徴用工判決や慰安婦問題について「日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある。日本の一貫した立場に基づき韓国側に適切な対応を求めた」と説明。さらに「国際的な約束、条約はしっかり守られなければならない。韓国側からしっかりとした対応をお願いしたい」とも述べた。
両首脳は会談で、北朝鮮の核・ミサイル開発などに対処するため、日韓、日米韓の連携を深めていくことで一致した。対面形式での首脳会談について、首相は記者団に「今のところ何も決まっていない」と述べるにとどめた。
首相は8日の所信表明演説で、韓国を「最も重要な隣国」ではなく、単に「重要な隣国」とする安倍晋三、菅両政権の立場を踏襲。普遍的価値を守るため連携する同盟国・同志国に米国、オーストラリア、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州を挙げたが、韓国を含めなかった。