露副首相2人が北方領土に 特区視察で牽制

択捉島の中心地、紗那(ロシア名クリーリスク)の街並み=2014年(鈴木健児撮影)
択捉島の中心地、紗那(ロシア名クリーリスク)の街並み=2014年(鈴木健児撮影)

【モスクワ=小野田雄一】ロシアのグリゴレンコ副首相兼官房長官とフスヌリン副首相は15日、ロシアが不法占拠する北方領土の択捉(えとろふ)島を訪問し、北方領土全域を対象とした経済特区の設置に向け、インフラの視察や地元実業家らとの会合を行った。露高官の北方領土訪問は岸田政権下では初。ロシアは北方領土開発を進めて実効支配を強め、日本を牽制(けんせい)する思惑だ。

露極東メディアによると、両氏には北方領土を事実上管轄するサハリン州のリマレンコ知事も同行。リマレンコ氏は地元実業家との会合で「経済特区の設置は水産加工や観光、運輸業への強い刺激となる。クリール諸島(北方領土と千島列島)は極東全体の発展の原動力となる」と述べた。

水産や観光業は、日露が将来的な実現で合意している北方領土での共同経済活動の対象分野。ロシアは北方領土開発を単独で進める意思を改めて鮮明にした。

特区設置構想は、ミシュスチン首相が7月の択捉島訪問の際に言及。プーチン大統領が9月、正式に導入計画を表明した。北方領土などに進出する国内外企業に所得税や固定資産税などを10年間免除するとの内容で、早ければ2023年1月にも開始される見通し。