3人は円形の宇宙的な雰囲気の舞台に三角形に並び、初回は代表曲「Get Wild」や新曲「HOW CRASH?」を含む9曲を披露した。
「Get Wild」は当時、テレビアニメ「シティーハンター」のエンドソングに使われた。ちょうど東京で宝塚歌劇雪組が、「シティーハンター」をミュージカル化した「CITY HUNTER-盗まれたXYZ-」を公演中だ。劇中、「Get Wild」が、とてもエネルギッシュに歌われる。
だが、再起動した当人たちは、この「Get Wild」をはじめ、いずれの曲も熱さとは裏腹の、実にクールな演奏で聴かせた。
音楽の土台は、いまも昔もダンスビート。ただ、今回はバスドラムが4拍を刻むのがより強調された鼓動のようなビートだ。
これに乗って小室が奏でるシンセサイザーの音色が、とてもレトロだ。かつては、近未来的に響いていたはずなのに。
だが、この両者の組み合わせが絶妙なのだ。冷静沈着な響きとうねりを生み出す。そこに木根のギターが加わり、独特のダンスロック音楽が出現する。宇都宮の歌唱は抑制が効いており、クールさを増す。なるほど21世紀の「TKサウンド」か。
世界を席巻するKポップの基盤もダンスサウンドだ。Jポップの世界には小室がプロデュースした音楽で育った世代のミュージシャンも多い。まさに、いまこそ彼らの再起動のときだ。(石井健)
◇
「TM NETWORK How Do You Crash It? one」9日配信。17日までアーカイブ配信中。
◇
公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。