衆院選の経済論戦 今回もアベノミクスが軸 - 産経ニュース

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衆院選の経済論戦 今回もアベノミクスが軸

衆院が解散され、議場をあとにする議員たち=14日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
衆院が解散され、議場をあとにする議員たち=14日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)

衆院が14日解散され事実上の選挙戦が始まったが、与野党ともに公約で格差是正に向けた「分配」戦略を掲げたことで論点が見えずらくなった。ただ、自民党は「成長」戦略として安倍晋三政権以来の経済政策の強化を併せて盛り込んでおり、その見直しを求める野党側との対立軸は存在する。岸田文雄政権の発足直後となる今回の選挙も、やはりテーマは「アベノミクス」の是非になりそうだ。

「成長と分配の好循環」を目指す首相のもと、自民党は成長・分配両面を意識した公約を掲げた。だが、令和版所得倍増や富裕層増税である金融所得課税の強化など首相の分配戦略のキーワードは見当たらない。

代わりに目立ったのは、公約作成の実務を担った高市早苗政調会長が総裁選で主張した金融緩和、機動的な財政出動、大胆な危機管理投資・成長投資という新「三本の矢」だ。国家の危機管理や科学技術立国への投資を加速する、いわば〝アベノミクス強化版〟で経済成長を後押しする考え。

一方、立憲民主党はアベノミクスが強いものをより強くし、株価だけが上がり実体経済を良くできなかったと批判。「分配なくして成長なし」という首相と同様の主張を公約に明記した上で、所得税を年収1000万円程度まで実質免除し、消費税を5%まで引き下げるなど大型減税を押し出す。

共産党は岸田政権の中身は「アベノミクスそのもの」と指摘し、最低賃金引き上げや非正規社員の正社員化などで使い捨ての働かせ方をなくすと訴える。日本維新の会も一定額の現金を無条件で支給する「ベーシックインカム」(最低所得保障)の導入を掲げる。

与野党ともに分配を意識するのは、市場原理と構造改革を追求した「新自由主義」的政策の下、格差や社会の分断が広がったという反省がある。ただ、格差是正を重視した首相の「新しい資本主義」は「野党の批判を飲み込むことで選挙の争点隠しを図った」(市場関係者)とも揶揄(やゆ)されており、〝岸田カラー〟が弱まったことでかえって対立軸が浮き彫りになるという皮肉な結果を招いた形だ。