今年4月に亡くなった劇作家、清水邦夫(1936~2021年)の代表作「楽屋」が、保坂知寿ら実力派4女優の出演で上演される。清水作品を多く手掛けた亡き蜷川幸雄のもとで学んだ、大河内直子の演出。演じることを生業とする女性たちの、生々しい思いが交錯する舞台だ。
作品は1977年に初演されて以降、「上演回数が最も多い」と言われるほど愛されてきた戯曲。チェーホフの「かもめ」を上演中の劇場楽屋で、女優ABCDが、それぞれ身を削って舞台に立つ思いや、生きた時代を語り、また敬愛するチェーホフ、三好十郎らの作品のせりふを口にする。演じることに魅入られ、情熱を燃やした女優たちを、女優が演じる面白さも魅力だ。
出演は劇団四季出身の保坂と笠松はる、宝塚歌劇団宙組元トップスターの大空ゆうひ、文学座の新人、磯田美絵。ミュージカルの大作で主演し幅広く活躍してきた3人と、新劇の老舗劇団の若手が丁々発止のせりふ劇に挑む。演出の大河内はコロナ禍で清水の戯曲を貪(むさぼ)り読んで今作に再会し、「『楽屋』には死せる者の魂と生きる者の魂が響き合っている」と上演を決めたという。
16~24日、東京・赤坂RED/THEATER。23日にライブ配信あり。問い合わせはinfo@ae-on.co.jp(unrato)。