公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「プレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。
「劇場版 ルパンの娘」
フジテレビの人気ドラマの映画化。ラブロマンス、コメディーからミュージカルまでをごった煮にした、独特のにぎやかな作風は映画でも健在。
盗賊一家「Lの一族」の一人娘、三雲華(深田恭子)が主人公。ロミオとジュリエットのような運命すら乗り越え、警察一家の桜庭和馬(瀬戸康史=こうじ)と幸せに暮らすが、一族に恨みをもつ人物がいて…と、ここまでがドラマ。
映画は「ジョーカー」や「愛の不時着」など話題の映画、ドラマのパロディーも混ぜながら、にぎやかさを増して、その結末を描く。
このところドラマの映画化作品は少なくないが、意外とテレビからの続きを避ける傾向もみられる。
そのなかで、こちらは正面切った続編となるが、「家」の対立から始まった物語を、通奏低音として流れ続けていた「家族」の絆というテーマに収斂(しゅうれん)し、美しい着地を決める。
監督は、ドラマと同じくフジの武内英樹。映画も「翔(と)んで埼玉」「テルマエ・ロマエ」を手掛けたヒットメーカーだ。
15日から東京・丸の内TOEI、大阪・梅田ブルク7などで全国公開。1時間50分。(健)
「THE MOLE(ザ・モール)」
国連による経済制裁下の北朝鮮が、海外へ武器輸出している疑惑が国際社会から長年持たれてきた。その武器取引の実態を、生々しい映像で克明に記録したドキュメンタリー。
デンマークの一市民が北朝鮮の闇を暴くため、10年にわたりスパイとして潜入。北朝鮮の武器や麻薬取引の隠れみのとみられる国際組織「KFA(朝鮮親善協会)」に潜り込み、恐るべき実態を知ることになる。
「北朝鮮はいかなるルールも守る必要がない国」であることを改めて実感した。監督はマッツ・ブリュガー。ノルウェー、デンマーク、英国、スウェーデン合作。
15日から東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋などで全国順次公開。2時間。(啓)