配偶者や恋人による暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)の防止と被害者保護を定めたDV防止法の施行から今月で20年となった。「法は家庭に入らず」の原則の下、それまで家庭内トラブルと片付けられてきた身内の暴力は、この法律によって「犯罪」と認定されるようになった。
同法施行後、DV相談件数は右肩上がりに増えている。内閣府によると、令和2年度は過去最多を更新する19万30件(速報値)で、元年度の11万9276件から1・6倍に。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛で在宅時間が増えたほか、生活不安などのストレスも要因になっているとみられる。
DV防止法では、被害者の申し立てに基づき、裁判所が加害者に接近禁止や住居退去などを命じる「保護命令」制度が導入された。警察庁の統計によると、裁判所による保護命令通知は近年、相談件数の増加に反して減少傾向にある。昨年は1460件と、平成28年(2143件)の約7割にとどまった。各都道府県に相談センターや一時避難所が整備されるなど、被害者保護の体制は確立されつつある。