衆院は14日午後の本会議で解散された。政府は臨時閣議で第49回衆院選の日程を「19日公示、31日投開票」と決定した。衆院選は平成29年10月以来で令和では初めての総選挙となり、新型コロナウイルス対策が主な争点となる。経済政策では与野党の多くが富の再分配に重点を置いた公約を掲げており、具体的な政策の違いも問われる。過半数(233議席)を目指す自民、公明両党に対し、政権交代を目指す立憲民主党は共産党などと共闘する。
衆院の定数は選挙区289、比例代表176の計465。14日までの産経新聞のまとめでは、選挙区で851人、比例代表単独で129人の計980人が立候補の準備を進めている。公示までにさらに増える見通し。前回衆院選の立候補者は1180人だった。
岸田文雄首相(自民党総裁)は記者会見で、衆院選を「未来選択選挙」と位置づけ、勝敗ラインを自公両党で過半数とした。「解散・総選挙を経て一刻も早く衆院の構成を確定し、主要政策の具体化に向けた作業を加速する」と訴えた。
その上で、選挙後に数十兆円規模の経済対策をまとめる方針を説明。看護師や介護士の給与引き上げに関しては年末までに「具体的な結論」を出すとした。また、成長の果実を幅広く行き渡らせる「温かい改革」を掲げ、15日に「新しい資本主義実現会議」を設置すると表明。デジタル改革と規制・行政改革を一体的に進める「デジタル臨時行政調査会」も置くとした。
コロナ対策については「最悪の事態を想定し、強力な対策を講じる」と強調した。外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」などの改定作業に着手したことも明らかにした。13日に国家安全保障会議(NSC)で指示した。
共闘する立民や共産を念頭に「日米安保や自衛隊の役割といった基本的な安保観でさえ一致していない野党各党に、この国を委ねることはできない」と述べた。
立民の枝野幸男代表は記者団に「アベノミクス9年間で株価だけが上がり、暮らしが全く良くなってこない。暮らしを支える政治に転換しなければならない」と強調。分配により重点を置いた訴えで与党の過半数割れを狙う。
衆院議員任期(21日)を過ぎてから投開票が行われるのは現行憲法下で初めて。首相就任から10日後の解散は戦後最短で、解散から投開票日までの17日間も戦後最短となる。