パリの窓

知性派トランプ?

2日、仏北部リールで講演するエリック・ゼムール氏(三井美奈撮影)
2日、仏北部リールで講演するエリック・ゼムール氏(三井美奈撮影)

フランスは大統領選を半年後に控え、「ご当地トランプ」に大騒ぎ。「イスラム移民が国を奪う」と訴える右派評論家で、エリック・ゼムールという。メディアは、トランプ米前大統領との比較論に熱をあげる。

トランプ氏は大富豪だが、ゼムール氏はパリのエリート校を出た元政治記者。小柄で痩せている。仏紙は「ゼムール氏は教養人」という点で全く違うと指摘した。講演会に行き、「なるほど」と思った。

彼は、イスラム教徒はムハンマドやアリではなく「フランス風の名前にしろ」と言ってのける。「人種差別」の批判に臆さないのはトランプ氏と同じ。違いは歴史を語るところ。ナポレオンやドゴール将軍の活躍に触れ、「フランスを救え」と訴える。愛国心旺盛なフランス人にはこれが受け、拍手喝采になる。

2人の最大の違いは、ゼムール氏が移民2世という点だろう。父は旧仏植民地アルジェリアから来たユダヤ人。地縁のない国で苦労して地位を築いた世代は、同化を拒むイスラム移民への憤りが強いらしい。講演会には、北アフリカ系らしい顔の人も結構来ていた。

テレビは一日中、ゼムール氏の話題で持ち切り。マクロン大統領の対立候補になるか否かに注目が集まる。おかげで、保革二大政党はすっかりかすんでしまった。(三井美奈)