衆院選「平成初→令和初」 一変した世相

会見する岸田文雄首相=14日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
会見する岸田文雄首相=14日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

令和に改元後初めて行われる今回の総選挙。世相を色濃く反映するといわれる国政選挙にあって、新型コロナウイルス対策とコロナ禍で落ち込んだ経済の立て直しが問われる前例なき戦いとなる。歴史をさかのぼり、平成最初の衆院選と比較してみると、この30年余りの国内外を取り巻く情勢の変化が浮かび上がる。

平成初となった2年2月の第39回衆院選。当時は自民党単独政権で海部俊樹氏が首相を務め、野党第1党は土井たか子委員長率いる社会党だった。元年12月に日経平均株価が3万8915円の史上最高値を記録するなどバブル景気の真っただ中にあり、同4月に導入された消費税の是非が最大の争点となった。

同7月の参院選は、消費税廃止を掲げた社会党が支持を集め、自民党は過半数割れの大敗。一方、7カ月後の衆院選では、社会党は136議席と50議席以上増やしたものの、自民党も安定多数の275議席を獲得する結果となった。

ほどなくバブルが崩壊し、国内経済は約30年にわたり長期の停滞が続く。この間、消費税率は3%から10%に段階的に引き上げられた。今回の衆院選では、野党第1党の立憲民主党がコロナ禍対応として、時限的な5%への減税を打ち出している。

明治大の小西徳應(とくおう)教授(日本政治史)は「導入当初、消費税による税収は約3兆円だったが、現在は約20兆円に増えて最大の税収源。年々重要性が高まっている」と指摘。21年からの政権交代を経験したことで、「野党も財政に対してかなり現実的な認識を持つようになった」とみる。

選挙制度は中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わり、2年に512だった衆院の定数は465まで減った。選挙権は20歳以上から18歳以上に引き下げられたが、投票率は2年の73・31%に対し、前回(29年)は53・68%となり、政治離れが進んでいる。

外交・安全保障環境はどう変わったか。昭和から平成への移行と時を同じくして、ベルリンの壁崩壊や東欧諸国の共産主義体制崩壊があり、米ソの対立構造を軸とした冷戦が終結。その後、急激に台頭してきた中国や、朝鮮半島情勢が国内での外交・安保議論の主流になっていく。

小西氏は「冷戦終結に目が向く中で、日本は中国にどう向き合うかを考えてこなかった。そこに中国が日本の領海に侵入するなどの理解を超える動きを行ったことで安全保障への危機感が高まった」と分析。こうした背景に支えられ、安倍晋三、菅義偉(すが・よしひで)両氏による長期政権が続いた。

長引くコロナ禍で飲食業や観光業をはじめとした経済が打撃を受ける一方、感染状況が落ち着き、行動制限の緩和を見据える中で選挙戦を迎える。

小西氏は「コロナ対策の細かな問題解決は官僚や専門家に任せてもできる。政治家にとって大事なのは、ポストコロナ社会への変化の中で、どんな国家をつくるかという大きな構想を示すことだ」と強調した。(内田優作)