東京も野党候補一本化急ピッチ 自民は警戒

衆院が解散され、議場を後にする前議員ら=14日午後、国会・衆院本会議場(納冨康撮影)
衆院が解散され、議場を後にする前議員ら=14日午後、国会・衆院本会議場(納冨康撮影)

衆院が14日に解散し、東京都内でも31日投開票の衆院選に向けた野党候補の一本化の動きが急ピッチで進んでいる。立憲民主党と共産党は4、15、23区で候補者を調整。れいわ新選組代表の山本太郎元参院議員が統一候補として名乗り出ながら一転出馬を取り下げた8区でも同様の調整が進んでおり、迎え撃つ自民党などは警戒の色を隠さない。

共産で統一候補

「どんなに複雑で苦しい思いがあったか。井戸さんに敬意を表する。心ひとつに勝ち抜きたい」。14日午後6時ごろ、共産の新人、谷川智行氏はJR蒲田駅前でこう声を張り上げた。

共産党都委員会は13日、衆院選で都内3小選挙区の候補者を立民と一本化することが決まったと発表。4区は谷川氏が残り、出馬を予定していた立民の元職、井戸正枝氏が急遽15区へ転出して同区の統一候補となった。また、23区は立民前職、伊藤俊輔氏で一本化し、共産は15区と23区で予定していた候補者の擁立を見送った。

谷川氏が戦う4区は、ほかに自民前職の平将明氏、日本維新の会新人の林智興氏らが出馬を表明している。自民関係者は「一本化されたのが共産候補なのは助かった」とした上で「共産に拒否感を持つ立民支持者の票が維新の林氏に回る可能性もある。どうなるかわからない」と表情を引き締める。

リベラルの受け皿

一方、井戸氏が転出した15区は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で収賄罪などに問われ、1審で懲役4年の実刑判決を受けて控訴中の無所属前職、秋元司氏や、立民などの会派を離脱した無所属前職の柿沢未途氏らが出馬を予定している。井戸氏の転出は、15区でリベラル系の受け皿にしたいという立民側の思惑が浮かぶ。

もっとも、井戸氏は前回衆院選で落選して以降、4区で雪辱を期して熱心に活動してきただけに、急転直下の国替え劇には波紋が広がった。

井戸氏は動画サイト「ユーチューブ」で、「多くの時間、心を尽くして活動してきた選挙区を移ることに納得や快諾はあり得ない」と戸惑いつつ「だからこそ何としても国会に戻らなければならないという強い思いを持っている」とコメント。4区でしのぎを削ってきた自民の平氏は自身のツイッターで「政治家として苦渋の決断ですね」と井戸氏をおもんぱかった。

比例票落ち込み懸念

山本氏が立候補を表明した後に取り下げた8区は、立民新人の吉田晴美氏、共産新人の上保匡勇氏が出馬を予定していたが、現在は吉田氏に一本化する方向で最終調整している。

ただ、共産は小選挙区での候補者擁立断念が比例票の落ち込みにつながる可能性を懸念している。党杉並地区委員会の酒井文男地区委員長は「決断は簡単ではない」と強調する。

同区は自民前職の石原伸晃元幹事長が8期連続で当選しており、野党にとっては候補者一本化の成否が選挙戦の行方を左右する。石原氏の選対メンバーの1人は「山本氏がすんなり降りるとは予想外。吉田氏で一本化されれば接戦もあり得る」と警戒した。