イラク国会選 シーア派民兵系が議席減か

【カイロ=佐藤貴生】10日に投票されたイラク国会(定数329)の総選挙で、隣国イランと連携するイスラム教シーア派の民兵組織に近い政党連合が議席を大幅に減らす見通しが出てきた。影響力浸透を図るイランの動きにイラクの国民が強い拒否反応を示した形で、政党関係者らは選挙に不正があったとして結果を認めない構えをみせている。

議席の大幅減が見込まれるのはシーア派の「征服連合」。親イラン民兵組織「人民動員隊」(PMF)の司令官だったアミリ元運輸相が率いている。

PMFは2014年からイラクで支配地域を拡大したスンニ派過激組織「イスラム国」(IS)と戦闘を展開し、IS壊滅に貢献した。政府は17年にISの掃討完了を宣言。征服連合は追い風に乗って18年の前回選で48議席を獲得し、国会で第2勢力となった。

しかし、ロイター通信などは12日までの暫定開票の結果、征服連合は14議席前後まで落ち込む見通しになったと報じた。これを受け、アミリ氏らは「詐欺だ」と述べて開票結果を拒否する姿勢を表明。親イランのある司令官はロイターに、結果が修正されない場合には市街での破壊活動も辞さない姿勢を示唆した。

イラクでは19年に汚職拡大や経済低迷に抗議する大規模な反政府デモが起き、参加者の間では政官界への影響力浸透を図るイランに対する反発も出た。600人近いデモ参加者が治安部隊との衝突で死亡したが、PMFは実弾を発射してデモ鎮圧に加わったとされ、国民の間に反イラン感情が広がっていた。

イラク国営通信が報じた暫定開票結果では、反米・反イランのシーア派有力指導者サドル師の政治組織が73議席と最大勢力を維持する見込み。親イランの征服連合と明暗が分かれそうだ。

スンニ派ではハルブシ国会議長率いる政党連合が38議席と躍進し、シーア派で親イランのマリキ元首相率いる「法治国家連合」が37議席で追う展開。北部の少数民族クルド人も一定議席を確保するとみられる。