甲府の放火 逮捕の少年、夫婦の娘と知り合いか

出火した住宅で消火活動に当たる消防隊員ら=12日午前4時40分、甲府市(近隣住民提供)
出火した住宅で消火活動に当たる消防隊員ら=12日午前4時40分、甲府市(近隣住民提供)

井上盛司さん夫婦とみられる2人の遺体が見つかった甲府市の放火事件で、山梨県警南甲府署捜査本部に13日未明、傷害容疑で逮捕されたのは市内の19歳の少年だった。「人を殺してしまった…」。事件当夜、少年は現場や自宅から遠く離れた駐在所を訪れ、泣きながら犯行を打ち明けたという。少年は夫婦の10代の娘と知り合いだったとされるが、なぜ、凶行に及んだのか。急展開を迎えた事件に知人や近隣住民らに再び動揺が広がった。

【写真】出火した住宅で消火活動に当たる消防隊員ら

少年は12日未明の犯行後走って現場を後にした。自らも負傷したとみられ、現場周辺の広範囲に少年のものとみられる血痕が残されていた。そして、12日午後7時ごろ、現場から南に30キロ近く離れた山々に囲まれた駐在所に駆け込んだ。

当時、駐在所は無人。少年は机に置かれていた電話の受話器をあげると、応対した署員に泣きながら犯行を打ち明けた。駆け付けた警察官が身柄を確保。少年の顔はやけどで水ぶくれし、指には負傷を手当てしたとみられるテーピングも確認できた。

夫婦は2人の娘と4人暮らし。少年は姉が通う県立高校に在籍していたとみられ、2人は面識があったという。生徒らによると、高校は学年を越えた交流もさかんだった。2年生の女子生徒は「(姉が)トラブルになっているとの話も聞いたことがない」と驚いた様子を見せた。

一方、現場近くの住民からは、少年の凶行に驚きと憤りが交錯した。事件当時に怒鳴るような声を聞いたという70代の女性は「外を歩くのが怖かった。普段は静かな場所なのに…」とうつむいた。夫婦を知る60代の男性は「どうしてこんなことができるんだ」と怒りをにじませた。

現場は、人通りも車通りも少ない閑静な住宅街。周辺は、この日も焦げた臭いが漂い、雨が断続的に降る中で、消防や警察がブルーシートを敷いてがれきの中で検証作業を続けていた。