フィギュア北京 羽生・紀平に迫る若手の大技 - 産経ニュース

メインコンテンツ

フィギュア北京 羽生・紀平に迫る若手の大技

来年2月4日に開幕する北京冬季五輪の表彰台に向けた争いが、フィギュアスケートでいよいよ本格化する。14日からはテスト大会のアジアンオープントロフィーが行われ、日本代表は全6戦のグランプリ(GP)シリーズを経て、年末の全日本選手権後に決定。男子は冬季五輪3連覇に挑む羽生結弦(26)=ANA=と世界選手権3連覇中のネーサン・チェン(22)=米国=の一騎打ち、女子は紀平梨花(19)=トヨタ自動車=がロシア勢に挑む、という前回平昌五輪の後に続いてきた構図に変化が生じるか、注目される。

二枚看板を追う10代

羽生にとって今季は五輪3連覇の偉業が懸かるだけでなく、不本意な形で終わった昨季からの巻き返しを図るシーズンでもある。

新型コロナウイルス禍に見舞われた昨季、ぜんそくの持病がある羽生は感染予防のためGPシリーズを欠場。10カ月ぶりの実戦となった12月の全日本選手権は、圧巻の演技で5度目の優勝を飾った。しかし、3月の世界選手権ではフリーでミスを連発し、3位に終わった。

今季のGPシリーズは第4戦のNHK杯(11月12~14日、東京)と第6戦のロシア杯(同26~28日、ソチ)に出場。十分に演技を練り上げて本番に臨む予定だ。

日本の男子は羽生と平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(23)=トヨタ自動車=の二枚看板が2012年から全日本王者を独占してきたが、世代交代の動きもある。昨季、シニアに転向したばかりの鍵山優真(18)=オリエンタルバイオ・星槎=と、同学年の佐藤駿(17)=フジ・コーポレーション=だ。鍵山は世界選手権では羽生を上回る2位に入った。佐藤は4回転ルッツの大技を持つ。

男女とも3枚ずつの五輪切符は、全日本の優勝者が最優先で獲得。残る2人ずつは全日本や、GPシリーズの成績上位6人によるファイナル(12月9~12日、大阪)の成績、今季マークした得点、世界ランキングなどを基に選ばれる。

カナダ拠点のデメリット

女子のエース、紀平は今季、北京五輪へ向けて大きな決断をした。練習拠点をカナダのトロントに移し、羽生をはじめ数々の五輪メダリストを指導してきたブライアン・オーサー氏(59)に師事することにしたのだ。

紀平は代名詞ともいえる大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に加え、昨季の全日本選手権で4回転サルコーにも成功。だが満を持して臨んだ世界選手権ではミスが相次ぎ、7位に沈んだ。

さらなる飛躍を目指しての決断だったが、拠点を移したことによるデメリットも生じている。出場予定だった北京五輪テスト大会は移動の負担もあって欠場が決定。日本国内の大会にも出場できず、実戦の機会の乏しさが懸念材料となっている。

一方、国内大会では他の有力選手たちが次々と今季のプログラムを披露している。その中で目立つのが、世界の舞台で戦うことを見据えた大技への挑戦だ。

今季がシニアデビューの松生理乃(17)=愛知・中京大中京高=は9月25、26日に行われた中部選手権に続き、2日のジャパン・オープンでも3回転半に挑戦。2018年世界選手権2位の樋口新葉(20)=明大=は実戦で初めて成功させた。河辺愛菜(16)=木下アカデミー=はフリーだけでなくショートプログラム(SP)にも盛り込む。

「絶望」という名の新星

では、海外勢はどうか。

男子で羽生らの前に立ちふさがる金メダル候補の本命が、現世界王者のチェン。平昌五輪ではSPでの出遅れが響いて5位に終わったものの、フリーの得点だけをみれば金メダルの羽生を10点近く上回る全体トップだった。以降は羽生との直接対決も含めて無敗を続けており、今年3月の世界選手権では羽生に30点以上の大差をつけて3連覇を飾った。

今季のGPシリーズ出場は第1戦のスケートアメリカ(10月22~24日、ラスベガス)と第2戦のスケートカナダ(同29~31日、バンクーバー)。順調ならば羽生との今季初対決はGPファイナルとなる見通しだ。

女子はロシア勢の強さが変わらず群を抜いている。その層の厚さは、平昌五輪で金、銀に輝いたアリーナ・ザギトワ(19)やエフゲニア・メドベージェワ(21)を若くして過去の存在へと追いやったほどだ。

2019年のGPファイナルはアリョーナ・コストルナヤ(18)にアンナ・シェルバコワ(17)、アレクサンドラ・トルソワ(17)という、この年がシニアデビューの「三人娘」が表彰台を独占。今年3月の世界選手権は金のシェルバコワと銅のトルソワに、復調した2015年の世界女王エリザベータ・トゥクタミシェワ(24)が割って入る形でまたも1~3位を占めた。

だが、五輪シーズンに入り、さらに若い選手が金メダル候補の本命に躍り出た。シニア本格参戦1年目となるカミラ・ワリエワ(15)は10日、フィンランドで行われたフィンランディア杯で世界最高得点をマークして優勝。ジュニア時代から将来を嘱望されてきた逸材は、ライバルたちの心を折る強さから「絶望」の異名で呼ばれているという。