【チーム学校】学校司書 本と人つなぐ図書館の番人(1/2ページ) - 産経ニュース

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チーム学校

学校司書 本と人つなぐ図書館の番人

学校の中にあって子供たちがそれぞれの世界に没頭できる場所、それが図書館だ。さまざまなジャンルの本に囲まれ、教科書にはない知識を広げられるだけでなく、教室の人間関係から離れられる居場所としても大きな可能性を秘めている。そんな図書館を運営し、子供を見守るのが学校司書だ。近年では、外部のボランティアと連携して図書館を「カフェ」として開放したり、教室に入れず不登校になった子供が図書館に登校できるようにしたりする試みもある。

「何かおすすめの本、ある?」

7月下旬の放課後、大阪市立市岡中学校内の学校図書館。NPO法人「FAIRROAD(フェアロード)」が週1回、運営する校内の居場所事業「はとばカルッチャ」で、2年の男子生徒が打ち解けた様子でスタッフに問いかけた。理事長の阪上由香さん(35)は笑顔を向け、本棚から児童文学作家、ミヒャエル・エンデの小説「モモ」を手に取った。「これはどうかな」

人間から時間を奪う「時間どろぼう」に主人公の少女、モモが立ち向かう物語。小説の世界では、泥棒の男たちが「時間を貯蓄すれば命が倍になる」と説明し、大人たちは時間を節約し、余裕を失っていく。

学校図書館での居場所事業「はとばカルッチャ」で、思い思いに過ごす生徒たち=9月30日、大阪市港区の市立市岡中学校(恵守乾撮影)
学校図書館での居場所事業「はとばカルッチャ」で、思い思いに過ごす生徒たち=9月30日、大阪市港区の市立市岡中学校(恵守乾撮影)

男子生徒は不登校気味で、家族から「だらだら過ごす時間がもったいない」と言われたことを気にしていた。阪上さんはそんな背景を知っているからこそ、この本を選んだ。「何か彼に感じてもらえたらいいな」

「はとばカルッチャ」では昼休みと放課後にスタッフが図書館に音楽をかけて生徒たちを待つ。読書をする生徒もいれば、友達同士でトランプをしたり、スタッフとボードゲームをしたり、パソコンで動画を見たりする姿もある。

なぜ学校図書館なのか。阪上さんは、「図書館は立ち寄るかどうかも子供自身が決められる場所。本があれば雑談のハードルも下がる」と話す。冒頭の男子生徒からは後に、「モモ」を購入したという報告があったという。

生徒の好みを蔵書に

文部科学省は、学校図書館の役割について、児童生徒が読書への関心を深めたり、授業で学んだことに関連した資料を集めるなど主体的な学習を支援したりすることのほか、子供たちの「心の居場所」になることを挙げる。

これらの役割を最大限に発揮するために欠かせないのが学校司書の存在だ。神奈川県立新羽高校で学校司書を務める松田ユリ子さん(61)は「『こういう図書館をつくる』というポリシーがないと、子供のためになる図書館にすることはできない」と学校司書の役割を説明する。

松田さんは、新しい学校に着任すると、教室に出向いて授業を見ることで生徒の学力のレベルを把握し、校内での会話や行事を通してどんな好みの子供がいるのかを探る。少し背伸びをして読むような本も蔵書に加え、生徒からのリクエストも受け入れる。

「(派手なファッションを好む)ギャルの多い学校には、ギャル向けの雑誌を全種類そろえる必要がある」と言って笑った。

全員がVIP

松田さんが前任校に着任したとき、図書館は「暗い」「怖い」と敬遠される場所だった。松田さんはそんな図書館の活用の幅を広げようと、NPO法人と連携。図書館で飲食ができ、学校外の大学生や市民ボランティアらも訪れる校内カフェを週に1回開いた。