【都民の消防官(3)】予防へ妥協許さず準備 渋谷署・奥田完巳消防司令補(58) - 産経ニュース

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都民の消防官(3)

予防へ妥協許さず準備 渋谷署・奥田完巳消防司令補(58)

防火管理について確認する渋谷署の奥田完巳消防司令補=5日、渋谷消防署(吉沢智美撮影)
防火管理について確認する渋谷署の奥田完巳消防司令補=5日、渋谷消防署(吉沢智美撮影)

「安全を伝える仕事であり、携わった人たちの笑顔に会えることが楽しみです」。入庁以来、長年従事してきた予防業務についてこう振り返った。イベントなどを通して都民へ防災について呼び掛けるとともに、事業者らと連携して防火管理体制の構築などに取り組んできた。

予防業務に携わる上で大きな一歩となったのは、初配属された小石川署で受け持った大規模な防災訓練だ。後楽園球場から東京ドームに建て替えられる直前の時期で、球場を使って事業者らと初動消火の訓練を行った。初任地で地元消防団らとの交流を体感し、訓練の基礎を学べたことに、「予防業務としての縁や運を感じる」という。

平成23年に新宿署に配属されてからは、複雑な地下街がある新宿駅周辺の防火安全対策に取り組んできた。ここでは複数の事業者がそれぞれ防災訓練を実施してきたため、大規模災害が発生した際の統合的な対策が長らく懸案だった。しかし、同年の東日本大震災で新宿駅周辺に帰宅困難者があふれたことを契機に、各事業者と連携した防災対策が加速した。

「建物は生きている」「街に出ないとどんな防火設備があるのか分からない」。新宿駅周辺は1つの建物でもさまざまな事業者が混在し、街並みが複雑化している。しっかり計画を練り込み、事業者と訓練しては反省会を繰り返した。

27年の異動後、新宿駅を中心とした鉄道5社と百貨店5社が連携し、防火安全対策を目的とした「総合防火防災管理協議会」が新たに設置された。この功績が評価され、29年に予防部長賞を受賞した。

目標を設定すると妥協を許さず、最後まで邁進(まいしん)する。「何でそこまでやるんですか」と後輩に問われたこともあった。「99%の準備や努力があってこそ現場で1%が花開く」。だからこそ、準備を最後まで怠らない。(吉沢智美)

おくだ・さだみ 愛媛県出身。短大卒業後、昭和59年、東京消防庁入庁。夫と娘2人の4人家族。趣味はDIY。最近では娘のために棚を自作した。愛媛生まれのため「ミカンのような明るさ」と笑顔を心がけ、周囲からは「消防のヒマワリさん」として親しまれている。